課税事業者選択届出書の期限はいつ?2026年にeBayを開業した人は12月31日まで

2026年にeBay輸出を始めて、「輸出は消費税が戻ってくる」と聞いたものの、何をいつまでに出せばいいのか分からない。そんな方は少なくありません。

売上が1,000万円以下の免税事業者は、何もしなければ消費税の還付は受けられません。還付を受けるには「消費税課税事業者選択届出書」の提出が必要で、2026年に開業した方は2026年12月31日までに出せば、開業した今年の分から還付の対象になります。

この記事では、課税事業者選択届出書の期限を中心に、2026年に開業したeBayセラーが年内に判断しておきたいことと、還付申告に向けた記帳の注意点をまとめます。

この記事でわかること

  • 課税事業者選択届出書の提出期限(原則と、開業した年の特例)
  • 名前が似ている「課税事業者届出書」との違い
  • 届出書の書き方と、年末の提出方法(e-Taxは12月29日から休止)
  • インボイス登録で課税事業者になる方法との違い
  • 還付申告に向けた記帳で、eBayセラーがつまずきやすいポイント

課税事業者選択届出書の期限は「前年の12月31日」

免税事業者が自分から課税事業者になるには、税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。個人事業主の場合、期限は原則として課税事業者になりたい年の前年12月31日です。届出の効力は、提出した翌年の1月1日から生じます。

項目還付を受けたい年提出期限
2026年に開業した方2026年分から2026年12月31日
2025年以前から事業をしている方2027年分から2026年12月31日

期限の日付はどちらも同じですが、2026年に開業した方だけは、今年の分から還付の対象にできます。次の章で詳しく説明します。

この期限は、土日祝日でも延長されません。2026年12月31日(木)を過ぎると、その年の分には間に合いません。

「課税事業者届出書」と「選択届出書」は別の書類です

名前がよく似ていますが、課税事業者届出書と課税事業者選択届出書はまったく別の書類です。取り違えて提出すると、還付を受けるための手続きをしたことになりません。

項目課税事業者届出書課税事業者選択届出書
出す人基準期間などの課税売上高が1,000万円を超え、自動的に課税事業者になる人売上が1,000万円以下で、自分から課税事業者になりたい人
役割課税事業者になったことを知らせる届出課税事業者になることを選ぶ届出
期限該当することになったら速やかに原則として前年12月31日(開業した年はその年中)
還付との関係出しても、売上が基準以下なら課税事業者にはならない出すことで課税事業者になり、還付の対象になる
「課税事業者届出書」を出しても、還付は受けられません

国税庁の様式一覧では2つの書類が並んでいて、取り違えやすくなっています。還付を受けたい免税事業者が出すのは、「消費税課税事業者選択届出書」です。様式名に「選択」が入っているかを必ず確認してください。

2026年に開業した方は「今年中」に出せば今年分から

事業を始めた年には特例があり、その年のうちに課税事業者選択届出書を出せば、開業した年から課税事業者になれます。2026年に開業した方なら、12月31日までに提出すれば、2026年分の消費税申告で還付を受けられる可能性があります。

開業した年は、在庫の仕入れや梱包資材、パソコンなどの備品の購入が重なり、払った消費税が大きくなりがちです。そのぶん還付額も大きくなりやすいので、開業1年目の判断はとくに大切です。

届出書の書き方と提出方法

2026年に開業して、今年の分から課税事業者になる場合の主な記載欄は次のとおりです。

記載欄書き方(2026年開業の場合)
適用開始課税期間自 令和8年1月1日 至 令和8年12月31日(個人の課税期間は1月1日から12月31日です)
基準期間自 令和6年1月1日 至 令和6年12月31日
基準期間の売上高開業前で売上がなければ0円
届出区分「事業開始」を選ぶ
事業内容「輸出販売業(eBay)」など

提出方法は、e-Tax、郵送、税務署の窓口への持参の3つです。提出したことを証明できるよう、e-Taxがおススメです。2026年から郵送や税務署持ち込みでは控えが発行されなくなったので、「提出したかどうか」が自分で確認できません。

年末はe-Taxも税務署の窓口も12月28日(月)まで

2026年の年末は、e-Taxが12月29日(火)から31日(木)まで休止します(e-Taxの利用可能時間カレンダーによる)。税務署の窓口も例年12月29日から閉庁です。12月29日以降に出す場合は郵送になり、12月31日の消印までに出せば期限内の提出となります。余裕をもって、12月28日までに済ませるのがおすすめです。

期限を過ぎるとどうなる?

12月31日を過ぎてしまうと、2026年に開業した方は、2026年分の還付を受けられなくなります。提出を忘れたことは、期限後でも認められる「やむを得ない事情」にあたらないため、さかのぼって適用を受けることはできません。

年の途中から課税事業者になる方法としては、次に説明するインボイス登録があります。

インボイス登録でも課税事業者になれる

免税事業者は、インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録申請)をすると、課税事業者選択届出書を出さなくても課税事業者になれる経過措置があります(2029年9月30日の属する課税期間まで)。

さらに、新たに事業を開始した年は、その年のうちに「事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする」旨を記載して登録申請書を出すと、1月1日にさかのぼってインボイス発行事業者(=課税事業者)になれます。2026年に開業した方は、この方法でも2026年分を丸ごと還付の対象にできます。この場合も、提出期限は2026年12月31日です。

項目課税事業者選択届出書インボイス登録(2026年開業の特例)
課税事業者になる日2026年1月1日(開業した年の分から)2026年1月1日にさかのぼる
提出期限2026年12月31日2026年12月31日
公表されない氏名と登録番号が公表サイトに載る
インボイスの交付できないできる(交付の義務も生じる)
免税事業者に戻れない期間2年間(2026年・2027年)登録日の翌年から、登録日以後2年を経過する日の属する年まで(2027年まで)

eBayの購入者は海外の消費者が中心なので、インボイスを求められることはほとんどありません。国内の事業者への販売がなく、還付だけが目的なら、課税事業者選択届出書のほうが目的に合っています。国内の事業者にも販売している方は、インボイス登録とあわせて検討してください。

なお、2025年以前から事業をしている方は、1月1日にさかのぼる特例は使えません。インボイス登録をした場合は、登録希望日(提出日から15日以後の日)から課税事業者になり、それより前の仕入れは還付の対象になりません。

届出を出す前に確認したい4つのこと

1.還付になるのは「原則課税」で申告したときだけ

輸出売上には消費税がかからない一方、国内の仕入れや経費では消費税を払っています。原則課税(一般課税)では「売上の消費税 − 仕入れの消費税」を計算するので、輸出が中心だとマイナスになり、その分が還付されます。簡易課税や2割特例(個人は2027年分・2028年分の3割特例)は売上の消費税をもとに計算するため、還付にはなりません。

2.2年間は免税事業者に戻れない

課税事業者を選ぶと、事業を廃止した場合を除き、2年間は免税事業者に戻れません。2026年に開業して今年から選ぶ場合、2026年分と2027年分は課税事業者として申告が必要です。開業から2年間は本来免税事業者でいられる期間なので、その立場を手放すことになります。また、2年たっても自動では免税事業者に戻りません。戻るには「課税事業者選択不適用届出書」の提出が必要です。

3.高額な設備を買うと縛りが延びる

課税事業者を選んだ2年の間に、1つ100万円以上(税抜)の固定資産(調整対象固定資産)を買って原則課税で申告すると、原則として3年間は免税事業者に戻れなくなります。また、1,000万円以上(税抜)の棚卸資産や固定資産(高額特定資産)を仕入れた場合も、別のルールで3年間は免税事業者になれません。車や大型の機材、大口の仕入れの予定がある方は、届出の前に確認してください。

4.還付額は「売上」ではなく「仕入れ」で決まる

還付されるのは、国内の仕入れや経費で払った消費税です。売上が大きくても仕入れが少なければ還付は小さく、申告の手間のほうが大きくなることもあります。年間の仕入れ額から、おおよその還付額を見てから判断してください。

届出を出すか迷ったら、仕入れの規模から一緒に確認しませんか

還付の見込みと、2年間の申告の手間を比べて判断するのがおすすめです。

還付申告に向けた記帳の注意点

届出を出したあとは、記帳の内容がそのまま還付額になります。ここでは、eBayセラーがつまずきやすいポイントのさわりだけ紹介します。

輸出売上の税区分を「輸出売上」にする

eBayの売上は輸出免税の対象です。freeeで「課税売上」や「対象外」で登録すると、申告書に載る課税売上高がずれ、還付額の計算に影響します。

外貨の売上を円に換算するルールを決める

USDだけでなく、GBP・EUR・AUDなど複数の通貨で売上が入ります。どのレートで、いつの時点で換算するかを決め、継続して同じ方法で処理することが大切です。Payoneerから円口座へ出金したときには、為替差損益も出てきます。

仕入れのインボイスと、個人からの仕入れ

仕入れの消費税を差し引くには、原則としてインボイス(適格請求書)の保存が必要です。フリマアプリや個人からの仕入れは、古物商の特例が使えるか、経過措置で一部だけ控除できるかによって、差し引ける額が変わります。

税区分を1か所間違えると、還付額が大きく変わります

たとえば、仕入れを「課対仕入」ではなく「対象外」で登録すると、その分の消費税は差し引かれず、還付額がそのまま減ります。還付申告では、税務署から取引の内容や書類の確認を求められることもあるので、記帳の段階から根拠をそろえておくことが大切です。

自分で記帳して還付申告をしたい方へ

届出を出したあとに「自分でfreeeに記帳して申告したい」と考える方のために、当事務所では「税理士がつくった eBay×freee 記帳完全キット」を用意しています。上で紹介したつまずきやすいポイントを、次のように説明しています。

つまずきやすい点キットの内容
外貨の換算みずほ銀行の公示レートを貼り付けると、売上・入金・出金の円換算と為替差損益を自動で計算するExcelテンプレート
freeeの税区分eBayのレポート取得からfreeeへの入力、輸出免税の設定まで、画面写真つきのマニュアルと、毎月の記帳ルーティン&税区分の早見表
インボイスのない仕入れ古物商特例と、インボイスなし仕入の経過措置(7・5・3割控除)の考え方
還付がいくらになるか年間の金額を入れると還付見込額が出る消費税シミュレーター
申告までに何をそろえるか記帳が終わったあとの申告準備チェックリストと、つまずきポイントQ&A
自分の取引で判断に迷う点税理士との個別面談(回数はプランによって異なります)

このキットは、記帳や申告書の作成を代わりに行うサービスではなく、ご自身で記帳し、申告できるようになるための教材と面談のセットです。届出を出して、開業した年の分から還付を受けたい方は、年明けの記帳が始まる前に準備を整えておくと安心です。

届出を出したら、次は還付申告です!

外貨換算テンプレートとfreeeの設定手順、税理士の個別面談をセットにしました。
プランと内容はサービスページでご確認ください。

よくある質問

Q
2026年に開業しましたが、売上が少なくても届出を出したほうがいいですか?
A

還付額は売上ではなく、国内の仕入れや経費で払った消費税で決まります。仕入れが少ないと還付も小さく、2年間の申告の手間のほうが大きくなることがあります。届出の前に、仕入れ額からおおよその還付額を確かめてください。

Q
12月31日を過ぎてしまったら、2026年分の還付は受けられませんか?
A

2026年に開業した方は、期限を過ぎると2026年分の還付は受けられません。課税事業者選択届出書も、1月1日にさかのぼるインボイス登録も、期限は2026年12月31日です。出し忘れは「やむを得ない事情」にあたらないため、さかのぼって適用を受けることもできません。

Q
「課税事業者届出書」を出してしまいました。
A

課税事業者届出書は、売上が1,000万円を超えて課税事業者になったことを知らせる書類です。出しても、売上が基準以下であれば課税事業者にはならず、還付も受けられません。還付を受けたい場合は、期限までに課税事業者選択届出書をあらためて提出してください。

Q
すでにインボイス登録をしています。届出は必要ですか?
A

不要です。インボイス発行事業者は登録日から課税事業者なので、原則課税で申告すれば還付を受けられます。ただし、2割特例・3割特例を選ぶと還付にはならないので、申告方法の選び方に注意してください。

Q
届出を出したら、自分で還付申告まで進められますか?
A

freeeで正しく記帳できていれば、ご自身で申告することもできます。ただ、外貨の換算や輸出売上の税区分を誤ると還付額がずれるため、記帳の段階から整えておくことが大切です。

まとめ

  • 課税事業者選択届出書の期限は、原則として課税事業者になりたい年の前年12月31日(休日でも延長されない)
  • 2026年に開業した方は、2026年12月31日までに出せば、開業した今年の分から還付の対象になる
  • 「課税事業者届出書」とは別の書類。様式名に「選択」が入っているかを確認する
  • 年末はe-Taxも窓口も12月28日まで。それ以降は郵送(12月31日消印まで)
  • 還付になるのは原則課税で申告したときだけで、2年間は免税事業者に戻れない

自分で記帳して、開業1年目から還付申告をしたい方へ

税理士が監修した教材6点と個別面談で、還付申告に間に合う帳簿をつくります。

この記事は2026年10月時点の法令に基づいています。

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