こんにちは、なかがわまみ税理士事務所です。
「家を売ったら、税金はどれくらいかかりますか」。売却が決まったあとに、こう聞かれることがよくあります。
マイホームを売って利益が出たときは、譲渡所得として所得税と住民税がかかります。ただ、住んでいた家であれば、その利益から最高3,000万円を差し引ける特例があります。これが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」です。
多くの方が「なんとなく聞いたことがある」制度です。ただ、要件をひとつでも外すと使えません。しかも外れる原因のほとんどは、売ったあとでは取り返しがつかないものです。
この記事でわかること
- 3,000万円控除が使える人・使えない人の分かれ目
- 引っ越し済みの家を売るときの「3年」の期限
- 更地にして売るとき、貸すときの落とし穴
- 住み替える方が先に決めておくべきこと(住宅ローン控除との関係)
- 買ったときの契約書がないと、税金がどれだけ変わるか
このページの目次
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除とは
自分が住んでいた家(居住用財産)を売って出た利益から、最高3,000万円を差し引ける制度です。所有期間の長さは問いません。買って数年で売った場合でも、要件を満たせば使えます。
税金の計算は、次の順番です。
- 譲渡所得 = 売った金額 -(取得費 + 譲渡費用)
- 課税される譲渡所得 = 譲渡所得 - 3,000万円
税額はどれくらい変わるのか
20年前に2,000万円で買った家を4,000万円で売り、仲介手数料などの譲渡費用が150万円かかったとします。
| 項目 | 3,000万円控除を 使わない場合 | 3,000万円控除を 使う場合 |
|---|---|---|
| 譲渡所得 | 1,850万円 | 1,850万円 |
| 特別控除 | なし | 3,000万円 |
| 課税される譲渡所得 | 1,850万円 | 0円 |
| 税額(長期・20.315%) | 約375万円 | 0円 |
※ 建物部分の取得費は、買ったときの金額から減価償却費相当額を差し引いて計算します。上の例はわかりやすさを優先して省略しています。
使えるかどうか、要件をチェックしてください
主な要件は次のとおりです。ひとつでも欠けると使えません。
- 自分が住んでいた家であること。別荘、この特例を受けるためだけに入居した家、新築中の仮住まいは対象外です。
- すでに引っ越している場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。2023年(令和5年)中に住まなくなった方は、2026年12月31日が期限です。
- 家を取り壊して売る場合は、取壊しの日から1年以内に売買契約を結び、かつ上の期限内に売ること。取り壊したあと、その土地を貸したり駐車場にしたりしていないこと。
- 売った年の前年・前々年に、この特例やマイホームの譲渡損失の特例を受けていないこと。買換えや交換の特例を受けている場合も対象外です。
- 買主が身内でないこと。親子、夫婦、生計を一にする親族、売ったあとその家に同居する親族、自分が支配している同族会社などへの売却は対象外です。
- 同じ資産について、収用等の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
ここまで読んで、「うちはどうだろう」と思われた項目はありませんでしたか??
申告まえに判定だけのご相談も受け付けています。売る前に、一度ご確認ください。
「使えると思っていたのに」という失敗
実際にご相談を受けていて、要件から外れてしまっていたケースです。
- 引っ越してから3年を過ぎていた。空き家のまま置いておくと、期限が過ぎます。
- 更地にしたあと、1年以上売れなかった。取壊しから1年以内の契約が条件です。
- 更地を月極駐車場にした。貸した時点で使えなくなります。
- 子どもや親に売った。相場どおりの価格でも、身内への売却は対象外です。
所有期間が10年を超えていれば、税率も下がります
売った年の1月1日時点で、家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている場合は、3,000万円控除に加えて軽減税率の特例が使えます。両方を併せて使うことができます。
| 3,000万円控除後の課税長期譲渡所得 | 税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合計) |
|---|---|
| 6,000万円以下の部分 | 14.21% |
| 6,000万円を超える部分 | 20.315% |
通常の長期譲渡所得は20.315%ですので、3,000万円で引ききれなかった部分の税負担が下がります。売却額が大きい方ほど税額が軽減されます。
住み替える方は要注意。住宅ローン控除とは、どちらか一方です
売却と同時に新しい家を買う方にとって、ここがいちばん大事なところです。
住宅ローン控除は、新居に入居した年とその前2年、その後3年の計6年の間に、3,000万円控除などの譲渡の特例を受けていると使えません。前の家で3,000万円控除を使うと、新居の住宅ローン控除がまるごと使えなくなる、ということです。
どちらが有利かは、売却益の大きさと、新居のローン残高・借入期間で変わります。売却益が小さければ、3,000万円控除を捨てて住宅ローン控除を取ったほうが得になるケースが多いです。
どちらを使うかは確定申告のときに選べます。ただ、売る時期や新居に入る時期をずらすといった調整ができるのは、売る前だけです。売ったあとにご相談いただくと、有利なほうを計算して申告する、しか残っていません。
買ったときの契約書が見つからないとき
取得費がわからない場合は、売った金額の5%を取得費とみなして計算します(概算取得費)。
4,000万円で売れた家なら、取得費は200万円とみなします。実際には3,000万円で買っていたとしても、証明できなければ同じです。3,000万円控除で吸収できる範囲なら影響はありませんが、売却額が大きい場合は税額が数百万円変わります。
購入時の売買契約書は、権利証や登記識別情報通知と一緒にしまわれていることが多いです。売却の話が出たら、まず探してみてください。ご両親がご健在のうちに、保管場所を聞いておくのも有効です。
よくあるご質問
家屋と敷地をご夫婦で共有している場合は、要件を満たせば、それぞれが最高3,000万円まで控除できます。ただし、家屋の持分がなく土地だけを持っている方は、原則として使えません。家屋の所有者と生計を一にし、その家に一緒に住んでいるなど一定の場合に限り、家屋の所有者が引ききれなかった残りの範囲で使えます。
転勤などでご本人が離れていても、生計を一にするご家族がその家に住んでいて、事情が解消すればまた一緒に住むと認められる場合は、ご本人の居住用家屋として扱われます。
同じ年に、マイホームの3,000万円控除と空き家特例のどちらにも当てはまる譲渡があった場合でも、控除できる金額の合計は3,000万円が限度です。相続した実家の売却については、実家を売却する前に知っておきたい「空き家特例控除」3000万円の活用法で詳しく説明しています。
3,000万円控除は利益が出たときの制度なので、赤字であれば使いません。ただし、一定の要件を満たすマイホームの売却損は、給与などほかの所得と損益通算し、翌年以降3年間繰り越せる特例があります。赤字だからと申告しないと、この特例も使えません。
申告に必要なものと、手続きの流れ
3,000万円控除は、確定申告をして初めて使えます。控除で税額がゼロになる場合でも、申告しなければ適用されません。ここは間違えやすいところです。
売った年の1月1日から12月31日までの譲渡が、その年の申告対象になります。
譲渡所得の内訳書(土地・建物用)、売ったときの売買契約書と仲介手数料などの領収書の写し、買ったときの売買契約書と領収書の写し。売った家屋の所在地と売った当時の住所が違う場合は、戸籍の附票の写しなど。軽減税率も併せて使う場合は登記事項証明書。
売った年の翌年2月16日から3月15日までに申告します。売却の翌年に申告する、という点も覚えておいてください。
申告のご依頼をお考えの方は、料金一覧もあわせてご確認ください。
まとめ。売ってからでは、打てる手がほとんどありません
- 3,000万円控除は、所有期間に関係なく使えます
- すでに引っ越している場合は、3年を経過する日の属する年の12月31日が期限です
- 更地にする、人に貸す、身内に売る。この3つはいずれも要注意です
- 所有期間10年超なら、軽減税率も併せて使えます
- 住み替えるなら、住宅ローン控除とどちらを取るかを先に決めてください
- 購入時の売買契約書は、売る話が出た時点で探しておいてください
譲渡所得のご相談でいちばん多い後悔は、「売る前に聞いておけばよかった」です。更地にしてしまった、貸してしまった、年をまたいでしまった。どれも、売る前なら選べたことでした。
使えるかどうかの判定だけでも構いません。契約前、できれば売りに出す前に、一度ご相談ください。面談はオンラインで完結しますので、西宮市・芦屋市・神戸市以外にお住まいの方、遠方の物件でも対応できます。
不動産を売った年の確定申告について、判定だけのご相談も受け付けています。
料金(165,000円・税込〜)、対応できる特例、ご依頼の流れは下のページにまとめています。

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※ この記事は2026年9月時点の法令に基づいています。

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