海外転勤になった場合の確定申告はどうすればいい?

海外転勤になった場合、一般的には住所も海外に移すと思いますが、日本での確定申告は必要なのでしょうか? 税理士がわかりやすく解説します。

1.海外転勤になったらどうなる?

海外に住民票をうつすと、一般的に「非居住者」になります(厳密には日本に滞在する期間が1年を超えると非居住者になります)。

「非居住者」は原則として、「国内源泉所得」だけを日本で申告することになります(例外として、その国と租税条約が結ばれており、国内源泉所得までも減免・非課税となる場合もあります)

日本国籍をもつ居住者の場合は、基本的に全世界すべての所得を日本で申告したうえで、海外で納税された税金は控除する仕組みなのですが、そもそも国内に住所がない「非居住者」の場合は、国内源泉所得が生じる場合のみ課税されます。

2.国内源泉所得ってどんなもの?

主なものを紹介します。

①日本出張期間に対応する給与が支払われた場合

 例えば、海外赴任中に、一時的に日本に帰国(出張)して日本で勤務した期間に対応する給与は、日本で課税されます(具体的には、国内払給与は会社が源泉徴収し、国外払の場合は居住者が翌年準確定申告をします)。

 ただし、多くの租税条約では短期滞在者免税規程(いわゆる183日ルール)というのがあり、この期間内であれば国外払給与は免税になります。赴任の方がよく気にされている183日ルールというのは、これを超えると日本で所得税が発生するということですね。

◆役員の場合は注意◆
日本法人の役員が海外赴任して非居住者となる場合は、たとえ海外勤務に対する報酬であっても20.42%の税率で源泉徴収が必要になります。この点、従業員が、国内勤務に対応する部分のみ課税されるのと異なりますので、注意が必要です。

②国内の資産を運用・売却した場合

日本にある自分の住宅を賃貸に出している場合や、日本国内の土地を売却した場合は、日本で確定申告が必要です。

③生命保険を解約したとき

日本で資産運用されていたため、国内源泉所得に該当します。ただし一時所得は50万円特別控除等があるため、かかる税金はさほどおおきくならないことが多いです。

その他、「国内源泉所得」の一覧は下記国税庁サイトもご参考ください。
国税庁:「国内源泉所得の範囲」

3.確定申告はどうする?

便利なE-taxソフトというのがありますが、非居住者はこのオンライン申告を使えません(そもそも住民票を抜くとマイナンバーカード自体も返却する必要があるようです)。

一般的には、国内に住所がある方や税理士を「納税管理人」として確定申告を依頼する形になります。

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