オフショア法人で節税?!(海外に法人を作った場合に気を付けるポイントを税理士がわかりやすく解説)

「日本は税率高いからもったいない!」「ドバイなら税金かからない!」といった意見は良く聞きますが、今回は、海外法人で節税する仕組みや注意点を解説します。

1.海外法人(オフショア法人)は税金がお得?

海外との取引が多い事業や、また必ずしも国内の事業所が必要でない場合、「いっそのこと海外法人を設立しようか?」と考えることもあるかと思います。

特に、ケイマン諸島、バハマ、香港、シンガポールあたりは税金が極めて低く、海外法人の設立を検討される方も少なくありません。

2.海外法人のメリット

海外で法人口座が開設でき、海外との取引がスムーズになる

海外で法人口座が開設できるので、海外との取引において信頼性が高まるのと同時に、早期による手数料や為替リスクの問題から解放されます。

節税できる(税率が低い)

日本はアジア諸外国や中東と比べて税率が高いので、税率の低い国や規制の緩い国に法人を設立してみようか、と考えることもあるかと思います。日本は実効税率が23%~44%程度ありますが、海外の一部地域は外資誘致のため、非課税または低税率になっていることがあります

3.日本で課税されるケースもあります

①タックスヘイブン対策税制が適用されると、日本で課税されます!

タックスヘイブン対策税制とは、簡単にいうと、「低税率国に設立したペーパーカンパニーや経済実態のない会社の所得は、日本の親会社(又は株主)の所得に合算される」制度です

この税制が適用されてしまうと、低税率国に会社を設立しても、結局日本の所得として課税されるため、まったく節税にはなりません。タックスヘイブン対策税制が適用されるかどうかは細かい要件がありますが、特に気を付けるのは、

◆税率が20%未満の国で
◆経済活動基準の4つのどれかを満たさない
と、海外法人の所得すべてが日本の親会社(又は株主)側に合算されてしまいます。

経済活動基準の4つは以下の表です。具体的に残しておくべき書類もあわせて確認してみましょう。

 内容証明書類
A 事業基準主たる事業が株式の保有やライセンス供与でない 
B 実態基準本店所在地国に事業に必要な事務所等がある・固定施設の売買契約書、賃貸借契約書 ・シフト表や日報等人的活動を示す書類
C 管理支配基準本店所在地国で事業の管理、支配、および運営を自ら行っている・本店所在地国で開催した株主総会議事録
D 所在地国基準(卸売業等は非関連者基準)本店所在地国で事業を行っていること(卸売業等は主として関連者以外と取引を行っている) 

 引用:財務省 国際課税説明資料 https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen21kai1.pdf

②日本でPE活動と認定されると、日本で申告・納税が必要です!

海外法人であっても、日本でPE(支店)をもつと、PEに帰属する所得は日本で課税されます。
いわゆる「PEなければ課税なし」という原則ですね。
PEとはpermanent establishmentのことで事業を行う一定の場所のことです。

PEに認定されるかどうかは、各国との租税条約の内容によって異なりますが、一般的には、①支店PE、②建設PE、③代理人PEの3種類があり、そこで事業を行い収益を生み出しているかが判断基準になります。

PEから生まれる所得は、日本で申告する必要があります
以前、Amazonの日本倉庫が支店PE認定されたニュースもありましたね。


まとめ

今回は、海外法人を作る場合も注意点を解説しました。
節税目的のオフショア法人やペーパーカンパニー、実際の活動拠点は日本というケースには、日本の税務署も目を光らせていますので、甘い話にはご注意を!

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