Archive for the ‘節税’ Category

子育て世代こそ住民税決定通知書を見るべし!(idecoで保育料まで節約できるワケ)

2024-06-16

5月ごろに届く、「住民税決定通知書」
サラリーマンの方は、封筒に入れられたまま人事から配られたり、自営業の方は市役所から届くと思います。中身だけ見てすぐ捨ててしまいがちですが、ちょっと待って!!

特に子育て世代に重要な保育料や学費、はたまた奨学金等に影響する重要な情報が隠れています!

1.そもそも住民税課税通知書ってなーに?

住民税は、前年の所得に応じて翌年6月から1年間にわたって徴収される税金です。

「なぜ市役所が私の所得を知ってるの?」と疑問に感じるかもしれませんが、サラリーマンの方は会社が給与支払報告書(いわゆる源泉徴収票)を、従業員の各自治体に提出しているため、それに基づいて各自治体が翌年の住民税を計算しています(ちなみに、自営業の方は、税務署宛に提出した確定申告書の情報が、各自治体に共有されます)

5月ごろに届く「住民税課税通知書」には、年収や今期の住民税額が記載されています。

★豆知識★ 
「去年、所得税ゼロだったのになぜ住民税がある?!」という方へ
実は、所得税と住民税の所得割の計算は、細かい点で異なり、若干住民税の所得割の計算のほうが厳しい(=控除額が少ない)です。例えば基礎控除の金額も、所得税は48万、住民税は43万円です。

2.実は子育て世代には重要な住民税!保育料や学費、奨学金の認定にも影響します。

保育料が所得の金額によって異なるのはよく知られていますが、正しくは「市町村民税(東京都の場合は特別区民税)の所得割」の金額で決定します。下の表の⑥の場所ですね。

ちなみに、高校無償化の判定は、「都道府県民税の所得割+市町村民税の所得割の合算額」で判定します。

ご注意:政令指定都市にお住いの方
住民税の税率は一律10%で、通常、道府県民税4%と市町村民税(特別区民税)6%なのですが、政令指定都市は道府県民税2%と市町村民税(特別区民税)8%になっています。ただし、保育料の計算はほかの6%ベースに計算しなおしますので、「決定通知書」の金額を6/8倍して計算してください。

 引用:総務省資料より

3.保育料・学費を下げるには?-結論:iDeCoが一番おすすめ

保育料や学費は、住民税の所得割額の世帯合計額で決まりますが、所得割額を下げるには、いくつか方法があります。

一般的な所得控除と同様「iDeCo」「社会保険料控除」「生命保険料控除」「医療費控除」などで課税所得を下げられますが、やはり一番お勧めは「iDeCo」です。

ちなみに、NISAとiDeCoを比較した場合、節税効果が高いのは圧倒的にiDeCoです(NISAは拠出額は所得控除できませんが、iDeCoの掛け金は全額控除できます)
もちろんiDeCoは60歳まで引き出しできないので、そのあたりのデメリットはよく検討する必要がありますが、手元資金にさほど心配がないのであればまずはiDeCoから始めてみるとよいと思います)。

例えば、iDeCoを夫婦それぞれ毎月1万円(2人で年間24万円)掛けた場合、所得税が2万4000円の節税(平均年収500万円であれば税率10%)、住民税も2万4000円(一律10%)節税になるだけでなく、保育料の負担が安くケースがあります(実際の金額は自治体のHPをご参照ください)

【注意】ふるさと納税をしても、保育料は安くなりません
ふるさと納税は、住民税の税額控除制度(=住民税の額が決まった後に差し引く制度)ですので、住民税の所得割額には影響しません。

【結論】iDeCoは節税効果バツグン!まず始めましょう

法人化したら節税できるってほんと?

2024-06-12

個人事業主で利益が増えると、税負担や社会保険料の負担がぐんと増え、「そろそろ法人化したほうがいいのかしら?」という悩みにぶつかります。一般的に、利益が700万~800万を超えると、法人化したほうがお得になるケースが多いですが法人化はメリット・デメリット様々あるので、よく考えてから法人化しましょう。

1.利益700万円が法人化の目安

個人事業主にかかる所得税の税率は、一律ではなく、所得に応じて5〜45%と7段階に分かれており、所得が増えるごとに税率も上がっていきます。
住民税の所得割は一律10%ですので個人事業主の利益にかかる税率は、最大で55%(所得税の最大税率45%+住民税10%)となります。

一方、法人の利益にかかる法人税の税率は、800万円までは一律23%程度(法人税15%+地方法人税+市県民税)、800万円超は35%程度(法人税23.2%+地方法人税+市県民税)ですので、利益が増えてくると法人化すると税率が低くなります。

2.法人化するメリット

①社会保険に加入すると、社会保険料が節約+将来の年金が手厚く

個人事業主は社会保険に加入できないので、国民健康保険・国民年金に加入することになります。国民健康保険料は前年の所得に応じて決まるので、思わぬ大きな収入が入ると、翌年の社会保険料が大きな負担になります(国保保険料は前年の所得の10%~15%程度、年金保険料は定額で約20万円です)

法人化して社会保険に加入すると、決定した役員報酬に応じて社会保険料も確定できるうえ、将来年金の2階部分(厚生年金)も受給できます。

②経費にできる範囲が増やせる

下記の経費は、個人事業主では経費になりませんが、法人化すると経費になります。

 内容要注意ポイント
出張日当旅費交通費規程を定め、日当を支給できる(個人でも所得税非課税)・常識的な範囲で規程を定めること ・出張履歴を残しておくこと
社宅自宅を法人名義で借りると、社宅として経費にできる・全額会社負担はNG(一定額は個人負担としてから収受すること)
・豪華な社宅(240平米以上等)は原則経費NG
社長個人の退職金退職金は課税上優遇されています・退職金が、これまでの役員報酬に比して不相当に多額の場合否認される可能性あります

③信用力・融資の点で有利

法人でなければ取引しない、法人でなければ融資しないという企業や金融機関もあります。
理由としては、法人は詳細な決算書・申告書を作成するため、その資料をもとに会社の信用力・財政状態を審査することができる一方、個人事業主は、個人の生活費としての資産(財布)と事業主としての資産(財布)がごちゃまぜになっているため、決算書や申告書をみても与信を審査しにくいためです。

3.法人化するデメリット

・赤字でも税金がかかる

法人の場合、赤字でも毎年約7万円の税金(均等割)がかかります。

・法人特有のこまごました出費、作業が増える

法人の確定申告書は税務の知識がない方は作成が難しいため、一般的に税理士に依頼することが多いです(会社の規模にもよりますが年間30万円程度)

法人名義のクレジットカードの年会費やネットバンクの費用等、こまごましたところで、個人名義よりも出費が増えることがあります。

4.まとめ

利益700万円を超したら、法人化して節税を検討
法人化して役員報酬を得ると、社会保険に加入できる

サラリーマンのスーツ代や資格取得費用は経費になる?

2024-06-01

サラリーマンが仕事をするためにかかった経費(スーツ代、資格取得代)は経費になるのでしょうか?

実は令和5年に一部制度が緩和され、(大半の方には影響ないのですが…)、高額の経費が掛かっている場合は確定申告すると税金が安くなることがあるので解説していきます。

1.そもそもサラリーマンには、もとから「一定の経費枠」が認められています。

①一定の経費枠とは?

自営業者と異なり、サラリーマンには、必要経費などの控除がありませんが、それに代わるものとして「給与所得控除」という一定の経費枠がもともと設けられています。

この定額の経費枠(=給与所得控除)は、年収によって、最低55万円~最大195万円の枠があります。「サラリーマンであればこの金額くらいは必要経費としてかかるでしょう、」という金額です。
この金額を給与から引いて、税金計算をしているので、控除額分の税金がかかっていない事になります。
要は始めからサラリーマンの必要経費が給与から引かれているのです。

②どのくらいの経費枠(=給与所得控除)があるの?

年収にもよりますが、年収額面の2割~3割程度が定額の経費枠(=給与所得控除)です。
例えば、年収400万円であれば、124万円の経費枠が設けられています。
スーツや革靴代、英会話代、会社の飲み会など考えても、こんなにかかっていない気がするので、これを見ると、それなりの枠が認められている(税制上配慮されている)というのがわかると思います。サラリーマンの特権ですね。実は結構優遇されています。

引用:国税庁「給与所得控除」

2.それ以上にめちゃくちゃ自腹の経費がかかったら?

①概要

先に説明した「給与所得控除」という定額の控除制度以外に、「特定支出控除制度」というのがあります。
特定支出控除制度とは、定額の経費枠(=給与所得控除)の半分よりも多く経費がかかった場合、半分の金額を超えてしまった分は、所得から差し引いて税金計算しましょう、という制度です。

②どんなものが経費になる?

重要なのは会社から補助をうけたもので、所得税がかかっていなもの(例えば立替経費や通勤交通費や出張旅費)は対象にならない、ということです。
あくまで、会社から補助を受けていない自腹の費用や、補助があっても所得税が課税されているものが対象になります。

通常は仕事でかかった立替経費はすべて清算されることが多いので、実際にこの制度の対象となるケースは非常にまれです。
また、原則として会社側に証明してもらう必要がありますので、事前に会社に相談するほうがよいでしょう。

③経費になるのはこの6種類!

(1)通勤費・職務上の旅費

通勤や勤務地を離れて仕事するときに必要な公共交通機関の料金やマイカー通勤の燃料費や高速代などが対象です(ただし、グリーン車料金は対象外)。もちろん、会社が通勤費・出張実費を精算している場合には、特定支出に含めることはできません。
(例)会社で定めている通勤交通費の上限を超えたり、特急券を利用して実費で負担している場合等

(2)転居費
転勤に伴う転居のために必要となった運賃や宿泊費、家財の運送料などを個人で負担した場合には、特定支出に含めることができます。転任に伴う転居のために、転任の日から1年以内に支出される通常必要となる費用について、認められます。

(3)研修費
仕事をするうえで直接必要となる、技術や知識を習得するための研修費用です。
もちろん、会社が研修費を負担するケースは対象にならず、サラリーマンが個人で研修費を支払う場合には特定支出とすることができます。

(4)資格取得費
①自動車免許、簿記、英語検定など、仕事に直接必要な資格取得のための費用
②法令の規定にもとづき特定の業務を営むことができる資格取得のための費用(たとえば、弁護士、公認会計士、税理士、弁理士、医師、歯科医などの資格を取得するための費用)

(5)帰宅旅費
単身赴任者などの勤務地や居所から自宅に帰宅するための旅費について、最も経済的かつ合理的と認められる通常の経路および方法によるものも特定支出にあたります。

(6)勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費)
勤務必要経費については、平成25年の改正で範囲が拡大され特定支出について認められることになりました。この勤務必要経費は上限が65万円と決められています。

①図書費:仕事に関連する専門書、業界紙の購入費用
②衣服費:制服、事務服、作業着など、仕事場で着用することが必要な衣服の購入費
     アパレル関係で業務中に着用が義務付けられる自社ブランドの服も対象になります。
③交際費:顧客や仕入先に対する接待、贈答費用

参考資料:国税庁「給与所得者の特定支出控除」

30万円未満のPCは、一括経費でOK!(その3:今注目されているのは…)

2024-05-08

実は、この税制は、一部の界隈で過度な節税スキームに用いられていたたため、改正されました。

1.令和4年度改正された内容は?

1.国税庁が問題視した節税スキーム

本特例は、青色申告の中小企業者、個人事業主の事務負担軽減のため設けられた制度にもかかわらず、一部のインフルエンサー等により節税スキームとして広まったため、国税庁が問題視し、改正に至りました。

  • ドローン節税
    ドローン需要の高まりを受け、ドローン(30万円以下)を大量の購入して全額経費にしたうえで、貸出し、リース収入を得るスキーム。収入はリース期間で按分されるが、費用は一括で先に経費にできる。
  • 足場節税
    ドローン同様、建設現場で貸し出す足場についても、同様の節税スキームが見られた。

2.改正内容

少額減価償却資産のうち、貸付の用に供した資産は特例を適用できなくなり、原則通り耐用年数で償却しなくてはなりました。

ただし、節税目的でない事業者に影響が出ないよう、貸付用であっても、以下のものについては、これまで通り、特例の対象となっています。
つまり、改正ははいりましたが、過度な節税や節税目的の貸与でなければ問題ないかと思います。

①主要な事業(物品賃貸業)またはそれに付随して行われる場合
例)不動産賃貸業者が賃貸物件に付随して家具等を貸し付ける場合
  元請けの企業が、協力会社や下請企業に工具等を貸し付けるケース

②グループ内への貸付
例)節税目的ではなく、グループ経営の一環として、グループ内で資産をレンタルしている場合(ボリュームディスカウントのため親会社でまとめて事務機械を購買し、まとめて子会社に貸付する)」

3.全額経費にできるが、償却資産税の対象になる!

残念ながら、少額減価償却資産は、一括経費になるにもかかわらず償却資産税はかかりますので償却資産の申告をする必要があります。

償却資産の計算上は、本来の耐用年数(4年、5年など)で償却して計算します。

償却資産税は、無形資産、車両にはかかりませんが、機械や備品(PC)等にかかります。ただし、免税点制度があり、対象資産の課税標準(≒簿価)が150万円を越えなければ償却資産はかかりません。

ちなみに、少額減価償却資産と似た「一括償却資産」というルールがあり、これは中小企業者にかかわらず全事業者が対象になり、10万~20万円の資産についてまとめて3年で一括償却するものがありますが、これは償却資産税の対象になりません。

30万円未満のPCは、一括経費でOK!(その2:申告書の記載方法)

2024-05-05

この特例は、特別措置法67条の8(個人の場合は措置法28条の2)で青色申告者だけに認められている特例ですが、優遇税制である特別措置法は、適用する条件として「申告書に記載する」必要があります。

①法人

(i)別表16(7)で各資産の明細を記載する方法


 別表16(7)にそれぞれの資産明細を記載する方法です。

(ⅱ)別表16(2)等 備考欄にまとめて記載する方法(明細は会社保管)

各資産の明細を省略し、合計額だけを別表16(2)備考欄に記載する方法です。
この場合は、明細は申告書に添付する必要はありません(会社保管)
 

②個人  

所得税申告書の「〇減価償却費の計算」に記載します。
ほかの固定資産と違い、会社で明細を保管していれば、総額で書けばOKなのですが、必ず摘要欄に「措法28の2」と記載してください。

最後に、この税制が注目されている理由をその3で解説します。

30万円未満のPCは、一括経費でOK!(その1:概要)

2024-05-03

①特例の内容

取得価額が30万円未満の固定資産を取得した際、一括で経費にできるよ、という制度です。
PCなどを購入した年にまとめて経費計上できることから、その分、取得した年の利益を圧縮して節税につなげられます!(ただし、上限は1年につき300万円まで)

②特例の対象者

法人

  • 青色申告を行うもの
  • 常時使用する従業員数が500人以下
  • 適用を受けたい事業年度の平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円以下
  • 資本金または出資金の額が1億円以下
  • 通算法人でない
  • 同一の大規模法人(資本金1億円超、または資本金5億円以上の法人による完全支配関係がある法人等)から、2分の1以上の出資を受ける法人ではない
  • 複数の大規模法人(同上)から3分の2以上の出資を受ける法人ではない

個人

  • 青色申告を行うもの
  • 常時使用する従業員数が1,000人以下の場合 

③申告書の記載方法

この特例は、特別措置法67条の8(個人の場合は措置法28条の2)で青色申告者だけに認められている特例ですが、優遇税制である特別措置法は、適用する条件として申告書に記載する必要があります。   その方法は、その2で解説します!

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