Archive for the ‘国際税務’ Category

【西宮の税理士】AIに消費税の質問投げてみた

2025-04-26

ちまたで話題のChatGPTに消費税のちょっと引っ掛かりやすい質問を投げてみました。
AIとの実際のやりとりをご覧ください。

前提

▶️質問

国内のゲームクリエイターが、国外のプラットフォーム(例:フォートナイトで有名なEPIC社)からの収入を得る場合、その売り上げは消費税の「①課税」「②輸出免税」「③不課税(国外取引)」のどれになる?

▶️電気通信利用役務提供の内外判定とは

ゲームクリエイターの収入は、いわゆる「電気通信利用役務の提供」に該当します。通常の役務提供は、役務の提供をする側の住所が国内かどうかで判定をしますが、「電気通信利用役務の提供」については近年改正され、役務を受ける側の住所が国内かどうかで判定します。

【実際のchatGPTとのやりとり】

▶️最初の答え ①課税取引 

👩‍💼 税理士中川:「国内のゲームクリエイターが、国外のプラットフォーム(例:フォートナイトで有名なEPIC社)からの収入を得る場合、その売り上げは消費税の「①課税」「②輸出免税」「③不課税(国外取引)」のどれになる?」

🧠 AI:「課税可否の4要件(国内取引、事業者、対価の授受、資産の譲渡等)を満たしているので、これは①課税です。」

👩‍💼 税理士中川:「国外に電気通信利用役務の提供をした場合でも本当に①課税になるの? ③不課税じゃないの?」

🧠 AI:「いえ、①課税になります。電子利用役務の役務の提供が国内取引に該当するかどうかは、「役務の提供を受ける者の住所等」により判定されます。​日本国内のクリエイターが報酬を受け取る場合、国内取引と判定され、消費税の①課税対象となります。」

👩‍💼 税理士中川:「日本国内のクリエイターは「役務提供をする側」であって、「受ける側」ではありません。役務提供を受けるのは国外の事業者だから③不課税では?」

▶️再調査後の答え ②輸出免税

🧠 AI:「ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通り、「電気通信利用役務の提供」における内外判定の基準は、「役務の提供を受ける側」の所在地で判断します。 結論は②輸出免税になります。」

👩‍💼 税理士中川:「・・・本当?国外取引なら4要件に該当しないから、②輸出免税ではなく③不課税では? ②輸出免税となる根拠条文を教えて」

🧠 AI:「電気通信利用役務の提供で、かつ受け手が国外の場合は、「消費税の課税取引」に該当し、そのうえで②輸出免税扱いになります。根拠としては、消費税法施行令第6条第1項第4号で、電気通信利用役務の提供について「役務の提供を受ける者の住所が国外にある場合は、②輸出免税に該当する」と規定されています」

👩‍💼 税理士中川:(国税庁のパンフレット(③不課税取引と明記されている資料)を見せて)「③不課税が正しい気がするけどなあ。消費税法施行令6条にはそのような内容は記載されていないよ。もう一度根拠を確認して」

🧠 AI:「失礼しました。②輸出免税の根拠としては消費税法 別表第一 第二号になります。

👩‍💼 税理士中川:「令和7年の最新の消費税法には『別表第一第二号』なんて存在しないよ。きちんと現行法の条文を確認して。」

🧠 AI:「……すぐに調べ直します。」

▶️再々調査後の結論:③不課税

🧠 AI:「失礼しました。現行の消費税法第4条により、課税対象となるには国内取引である必要があります。そして施行令第6条により、電気通信利用役務の提供の場合、提供を受ける者の住所によって内外判定を行います。」

👩‍💼 税理士中川:「つまり、国外にいる相手に提供するなら国内取引ではないということだよね?」

🧠 AI:「はい、その通りです。したがって、国内取引に該当せず、③消費税の課税対象外(=不課税)になります。」

👩‍💼 税理士中川:「最初からそう言ってくれればよかった(笑)」

【補足解説】

▶️【国外への電気通信利用役務提供とは】

クラウドサービス、オンライン広告、デジタルコンテンツ配信など、インターネット経由で提供する役務です。例外的にこのような役務提供は、役務提供を受ける側の住所が国内かどうかで課税対象とする旨が税制改正で定められました。

▶️【なぜAIが間違えたのか?】

過去の消費税法体系と現行法を混同し、改正前の条文や、現在存在しない別表第一第二号を引用してしまった

▶️【課税可否の4要件とは?】

以下の4要件のいずれかの当てはまらない場合は、③不課税になります。今回は1.国内取引かどうかが焦点になりました。

  1. 国内で行われたこと
  2. 事業者が事業として行ったこと
  3. 対価を得て行うと
  4. 資産の譲渡、貸付または役務の提供であること

▶️【②輸出免税と③不課税の違い(まとめ表)】

区分内容還付可否
(仕入税額控除の可否)
②輸出免税課税取引に該当するが輸出や海外への役務提供については免税(0%)還付可能
③不課税もともと4要件に該当せず課税対象外(国外取引等)還付不可

※②輸出免税は仕入税額控除(還付)の対象となるが、③不課税は還付対象とならない点が違いです。

【感想】

▶️AIは最初の回答で間違うこともある。特に税制改正があった場合は、古い条文やブログを参考に指定しまうことがあるようです。

▶️しかし、「根拠を出して」「条文を確認して」と要求しながら対話を続けることで、正しい結論にたどり着けるので。AIは「正しく使えば優秀な相談相手」になり得ると感じました。

【令和7年4月施行】プラットフォーム課税でiTunesやGoogle Playの処理が変わる?事業者の実務対応まとめ

2025-04-15

令和7年(2025年)4月から、「プラットフォーム課税制度」が始まりました。
これは、国外事業者が日本の消費者向けに提供するデジタルサービスについて、仲介プラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す制度です。

一見すると「消費者向けの制度」に思われがちですが、実は事業者の会計処理や仕入税額控除の判断にも影響があります。iTunes や Google Play 経由の支払、広告費など、見直しが必要な項目が出てくる可能性があります。

プラットフォーム課税の対象となる条件

以下すべてに当てはまる取引が対象です:

  • 国外事業者が提供するサービス(例:アプリ・電子書籍・音楽配信など)
  • 提供先が日本の消費者
  • 特定プラットフォーム事業者(Apple, Googleなど)を通じて提供される
  • 対価の支払いもプラットフォームを介して行われる

この場合、実際にサービスを提供するのは海外の事業者でも、消費税の納税義務はプラットフォーム事業者側に発生します。

iTunes・Google Play 経由の支払処理はこう変わる

これまで:

  • Apple USAやGoogle LLCなど国外法人からの請求が多く、インボイス非対応のため、仕入税額控除の対象外となるケースが多かった

令和7年4月以降:

  • Apple JapanやGoogle合同会社などの国内法人が請求主体となるの適格請求書(インボイス)が発行されれば、仕入税額控除が可能に(税区分は課税仕入10%)

ただし、Insta広告やGoogle広告などは従来通り対象外

以下のような事業者向けサービスは、今回のプラットフォーム課税の対象外です。

  • Instagram広告(Meta社)
  • Google広告(Google LLC)
  • Canva Pro、ChatGPT Plus、その他海外のクラウドツール
  • 海外のサーバー使用料、API利用料 など

これらは引き続き、リバースチャージ方式による処理が必要です。

「課税売上割合が95%以上」の事業者の取扱い

リバースチャージの対象取引であっても課税売上割合が95%以上の事業者については、リバースチャージの適用が免除されます(当面の特例)

その結果「課税仕入れに係る消費税額等に該当しないもの(=税区分:対象外や不課税)」として処理することになります。

まとめ

  • 令和7年4月から、国外事業者のデジタルサービス提供に関する消費税のルールが一部変更
  • iTunesやGoogle Play経由の取引は、インボイス制度上も請求書が適正に発行される場合は、事業者が仕入税額控除を受けられる可能性があります
  • Instagram広告などの事業者向け取引は、改正なし(引き続きリバースチャージ対象だが、課税売上割合が95%以上であれば、リバースチャージの適用免除により「対象外」処理)

ご不明な点や、取引ごとの具体的な処理方法についてお悩みの方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
会計ソフトの入力例や、実務に即した処理方法をご案内いたします。

海外転勤になった場合の確定申告はどうすればいい?

2024-05-28

海外転勤になった場合、一般的には住所も海外に移すと思いますが、日本での確定申告は必要なのでしょうか? 税理士がわかりやすく解説します。

(さらに…)

オフショア法人で節税?!(海外に法人を作った場合に気を付けるポイントを税理士がわかりやすく解説)

2024-05-22

「日本は税率高いからもったいない!」「ドバイなら税金かからない!」といった意見は良く聞きますが、今回は、海外法人で節税する仕組みや注意点を解説します。

1.海外法人(オフショア法人)は税金がお得?

海外との取引が多い事業や、また必ずしも国内の事業所が必要でない場合、「いっそのこと海外法人を設立しようか?」と考えることもあるかと思います。

特に、ケイマン諸島、バハマ、香港、シンガポールあたりは税金が極めて低く、海外法人の設立を検討される方も少なくありません。

2.海外法人のメリット

海外で法人口座が開設でき、海外との取引がスムーズになる

海外で法人口座が開設できるので、海外との取引において信頼性が高まるのと同時に、早期による手数料や為替リスクの問題から解放されます。

節税できる(税率が低い)

日本はアジア諸外国や中東と比べて税率が高いので、税率の低い国や規制の緩い国に法人を設立してみようか、と考えることもあるかと思います。日本は実効税率が23%~44%程度ありますが、海外の一部地域は外資誘致のため、非課税または低税率になっていることがあります

3.日本で課税されるケースもあります

①タックスヘイブン対策税制が適用されると、日本で課税されます!

タックスヘイブン対策税制とは、簡単にいうと、「低税率国に設立したペーパーカンパニーや経済実態のない会社の所得は、日本の親会社(又は株主)の所得に合算される」制度です

この税制が適用されてしまうと、低税率国に会社を設立しても、結局日本の所得として課税されるため、まったく節税にはなりません。タックスヘイブン対策税制が適用されるかどうかは細かい要件がありますが、特に気を付けるのは、

◆税率が20%未満の国で
◆経済活動基準の4つのどれかを満たさない
と、海外法人の所得すべてが日本の親会社(又は株主)側に合算されてしまいます。

経済活動基準の4つは以下の表です。具体的に残しておくべき書類もあわせて確認してみましょう。

 内容証明書類
A 事業基準主たる事業が株式の保有やライセンス供与でない 
B 実態基準本店所在地国に事業に必要な事務所等がある・固定施設の売買契約書、賃貸借契約書 ・シフト表や日報等人的活動を示す書類
C 管理支配基準本店所在地国で事業の管理、支配、および運営を自ら行っている・本店所在地国で開催した株主総会議事録
D 所在地国基準(卸売業等は非関連者基準)本店所在地国で事業を行っていること(卸売業等は主として関連者以外と取引を行っている) 

 引用:財務省 国際課税説明資料 https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen21kai1.pdf

②日本でPE活動と認定されると、日本で申告・納税が必要です!

海外法人であっても、日本でPE(支店)をもつと、PEに帰属する所得は日本で課税されます。
いわゆる「PEなければ課税なし」という原則ですね。
PEとはpermanent establishmentのことで事業を行う一定の場所のことです。

PEに認定されるかどうかは、各国との租税条約の内容によって異なりますが、一般的には、①支店PE、②建設PE、③代理人PEの3種類があり、そこで事業を行い収益を生み出しているかが判断基準になります。

PEから生まれる所得は、日本で申告する必要があります
以前、Amazonの日本倉庫が支店PE認定されたニュースもありましたね。


まとめ

今回は、海外法人を作る場合も注意点を解説しました。
節税目的のオフショア法人やペーパーカンパニー、実際の活動拠点は日本というケースには、日本の税務署も目を光らせていますので、甘い話にはご注意を!

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