【子育て起業と経費】ベビーシッター代や保育費用は経費になる?

「子どもを預けなければ働けないのに、それが経費にならないなんて…」

ママ・パパ問わず、子育てをしながら起業・副業をしている方にとって、ベビーシッター代や保育費用は切実な問題です。

とくにフリーランスや個人事業主は、時間も労力も限られている中で、自腹で保育費用を負担しながら働いている方が多く、「これは仕事のための必要経費では?」と思われるのは当然の感覚です。

しかし、税務の世界では「必要だから=経費になる」とは限らないのが現実です。


この記事では、

  • ベビーシッター代は経費になるのか?
  • どういう理由で経費にならないのか?税務署の考え方
  • 西宮市を例に自治体の補助金や助成制度の活用方法

などについて、税理士の視点と子育て経験をもとに、わかりやすく解説します。

結論:ベビーシッター代は経費にならない(所得税法の考え方)

まず結論から言えば、原則としてベビーシッター代は経費にできません
所得税法第45条では、家事費(私生活の支出)やこれに関連する費用は必要経費に含めないと定められています。


居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、(一部略)事業所得の金額(一部略)の計算上、必要経費に算入しない。
 一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの(以下略)

— 所得税法 第45条 家事関連費等の必要経費不算入等

つまり、「保育がなければ働けない」という事情があっても、それは私的な事情=家事関連費とされてしまうのです。

なぜ経費にできないのか?──国(税務署)の考え方

所得税法上では、「売上を直接得るためにかかった費用」(所得税法第37条)だけが必要経費として認められます。つまり、支出と売上との間に直接的な関連性・業務上の必要性・常識的な金額があることが求められます。

一方で、育児は本質的に「生活の一部」と見なされ、家事関連費(所得税法第45条)に該当するため、経費として認められにくいのです。

📝税務署の立場としては、子育てや生活に必要なコストは
扶養控除・児童手当・ベビーシッター助成金などの社会保障制度で支えるべき領域
と位置づけていると考えられます。

「預けなければ働けない」のに、なぜ経費にならないの?

子育て中の親としては、
「預けなければ働けない=業務に必要な支出では?」と思うのが自然です。

たとえば私自身も、仕事が立て込んだときには、他府県に住む母に子どもの面倒を見に来てもらうことがあります。でも、その交通費を経費にできるか?といえば、それもできません。

なぜか。

もしこれを認めてしまうと、
「病気を治さないと働けないから治療費を経費に」
「親を介護施設に入れないと働けないから介護費用を経費に」

など、私生活と事業の境目が曖昧になってしまうからです。

税務の世界では、こうした「家庭内の事情」は、たとえそれが仕事に強く影響していたとしても、原則として“経費ではなく生活費”とみなされる**のです。

「それっておかしくない?」ママパパたちの声と税務の現実との乖離

私自身も子育てしながら働く親として、こう思うことがあります。

「キャバクラの接待は“交際費”になるのに、
仕事のために預けたベビーシッター代が経費にならない?😡(╬
どう考えても、こっちの方が経費になるはずでしょ!!」

とはいえ、税法は「売上を直接得るために要した費用」のみを経費として認めているため、現実問題としてベビーシッター代や保育費は通らないのが現実です。

「私は毎年入れてるけど大丈夫だったよ」は信じていい?

この声、よく聞きます。
確定申告書を出して認められたわけではなく、でもそれは単に「税務調査が来ていないだけ」です。

調査が入れば、ベビーシッター代が経費として否認されるリスクは非常に高い支出です。
「みんなやってるから平気」は通用しません。

日本に判例はないが、海外では裁判で認められず

実は日本ではまだベビーシッター代の経費性についての裁判例はありません
しかしアメリカでは争われたことがあり、結論として経費としては認められませんでした

今後ママ起業家が増えれば、日本でも判例が出る可能性はありますが、現時点では「認められにくい」と考えておいたほうが無難です。

ただし、今後経費として認められる余地が全くないとはいえません。
業務との直接関連性が明確なケースとして経費として計上する場合は、業務との関連性、必要性について説明できるように、以下の証拠資料をしっかり残しておくことが大切です。

  • 利用明細・領収書
  • スケジュールや業務内容の記録
  • 必要性を説明できるメモなど

【西宮市在住の方向け】育児と仕事の両立を応援する補助制度も

西宮市では、働く保護者を支援する保育関連の補助制度があります。ベビーシッター代が経費にならなくても、こうした制度の活用で負担を軽くできる可能性があります。

■ 認可外保育施設利用料補助金

認可外保育園やベビーシッターサービスを利用している方に対し、利用料の一部の補助があります。

👉 詳細はこちら:
西宮市 認可外保育施設利用料補助金のページ

■ 訪問型病児・病後児保育 利用料金助成制度

病気の子どもを自宅で見てもらう訪問型保育を利用した際の費用について補助されます。

👉 詳細はこちら:
西宮市 病児・病後児保育の助成制度

💬 経費処理で迷ったら、お気軽に税理士にご相談を!

なかがわまみ税理士事務所では、freee・マネーフォワード対応の自計化サポートを行っています。
西宮市を中心に、個人事業主・フリーランスの方が「自分で収支を把握できる経理」を応援しています。

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