【西宮の税理士】AIに消費税の質問投げてみた

ちまたで話題のChatGPTに消費税のちょっと引っ掛かりやすい質問を投げてみました。
AIとの実際のやりとりをご覧ください。

前提

▶️質問

国内のゲームクリエイターが、国外のプラットフォーム(例:フォートナイトで有名なEPIC社)からの収入を得る場合、その売り上げは消費税の「①課税」「②輸出免税」「③不課税(国外取引)」のどれになる?

▶️電気通信利用役務提供の内外判定とは

ゲームクリエイターの収入は、いわゆる「電気通信利用役務の提供」に該当します。通常の役務提供は、役務の提供をする側の住所が国内かどうかで判定をしますが、「電気通信利用役務の提供」については近年改正され、役務を受ける側の住所が国内かどうかで判定します。

【実際のchatGPTとのやりとり】

▶️最初の答え ①課税取引 

👩‍💼 税理士中川:「国内のゲームクリエイターが、国外のプラットフォーム(例:フォートナイトで有名なEPIC社)からの収入を得る場合、その売り上げは消費税の「①課税」「②輸出免税」「③不課税(国外取引)」のどれになる?」

🧠 AI:「課税可否の4要件(国内取引、事業者、対価の授受、資産の譲渡等)を満たしているので、これは①課税です。」

👩‍💼 税理士中川:「国外に電気通信利用役務の提供をした場合でも本当に①課税になるの? ③不課税じゃないの?」

🧠 AI:「いえ、①課税になります。電子利用役務の役務の提供が国内取引に該当するかどうかは、「役務の提供を受ける者の住所等」により判定されます。​日本国内のクリエイターが報酬を受け取る場合、国内取引と判定され、消費税の①課税対象となります。」

👩‍💼 税理士中川:「日本国内のクリエイターは「役務提供をする側」であって、「受ける側」ではありません。役務提供を受けるのは国外の事業者だから③不課税では?」

▶️再調査後の答え ②輸出免税

🧠 AI:「ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通り、「電気通信利用役務の提供」における内外判定の基準は、「役務の提供を受ける側」の所在地で判断します。 結論は②輸出免税になります。」

👩‍💼 税理士中川:「・・・本当?国外取引なら4要件に該当しないから、②輸出免税ではなく③不課税では? ②輸出免税となる根拠条文を教えて」

🧠 AI:「電気通信利用役務の提供で、かつ受け手が国外の場合は、「消費税の課税取引」に該当し、そのうえで②輸出免税扱いになります。根拠としては、消費税法施行令第6条第1項第4号で、電気通信利用役務の提供について「役務の提供を受ける者の住所が国外にある場合は、②輸出免税に該当する」と規定されています」

👩‍💼 税理士中川:(国税庁のパンフレット(③不課税取引と明記されている資料)を見せて)「③不課税が正しい気がするけどなあ。消費税法施行令6条にはそのような内容は記載されていないよ。もう一度根拠を確認して」

🧠 AI:「失礼しました。②輸出免税の根拠としては消費税法 別表第一 第二号になります。

👩‍💼 税理士中川:「令和7年の最新の消費税法には『別表第一第二号』なんて存在しないよ。きちんと現行法の条文を確認して。」

🧠 AI:「……すぐに調べ直します。」

▶️再々調査後の結論:③不課税

🧠 AI:「失礼しました。現行の消費税法第4条により、課税対象となるには国内取引である必要があります。そして施行令第6条により、電気通信利用役務の提供の場合、提供を受ける者の住所によって内外判定を行います。」

👩‍💼 税理士中川:「つまり、国外にいる相手に提供するなら国内取引ではないということだよね?」

🧠 AI:「はい、その通りです。したがって、国内取引に該当せず、③消費税の課税対象外(=不課税)になります。」

👩‍💼 税理士中川:「最初からそう言ってくれればよかった(笑)」

【補足解説】

▶️【国外への電気通信利用役務提供とは】

クラウドサービス、オンライン広告、デジタルコンテンツ配信など、インターネット経由で提供する役務です。例外的にこのような役務提供は、役務提供を受ける側の住所が国内かどうかで課税対象とする旨が税制改正で定められました。

▶️【なぜAIが間違えたのか?】

過去の消費税法体系と現行法を混同し、改正前の条文や、現在存在しない別表第一第二号を引用してしまった

▶️【課税可否の4要件とは?】

以下の4要件のいずれかの当てはまらない場合は、③不課税になります。今回は1.国内取引かどうかが焦点になりました。

  1. 国内で行われたこと
  2. 事業者が事業として行ったこと
  3. 対価を得て行うと
  4. 資産の譲渡、貸付または役務の提供であること

▶️【②輸出免税と③不課税の違い(まとめ表)】

区分内容還付可否
(仕入税額控除の可否)
②輸出免税課税取引に該当するが輸出や海外への役務提供については免税(0%)還付可能
③不課税もともと4要件に該当せず課税対象外(国外取引等)還付不可

※②輸出免税は仕入税額控除(還付)の対象となるが、③不課税は還付対象とならない点が違いです。

【感想】

▶️AIは最初の回答で間違うこともある。特に税制改正があった場合は、古い条文やブログを参考に指定しまうことがあるようです。

▶️しかし、「根拠を出して」「条文を確認して」と要求しながら対話を続けることで、正しい結論にたどり着けるので。AIは「正しく使えば優秀な相談相手」になり得ると感じました。

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