おうち教室を開業したら?英語・料理教室・ハンドメイド・リトミック講師の税金・扶養・経費の基本

おうちで英語教室や料理教室、ハンドメイド、リトミック教室を始める方が増えています。「好きなことを仕事にしたい」「子育てと両立したい」そんな想いで開業する女性にとって、税金や扶養、経費の管理は意外と悩みのタネ

しかし、実際におうち教室を始めてみると、税務だけでなく様々な課題に直面します。「生徒が集まらない」「料金設定に迷う」「ご近所への配慮はどうすれば?」など、開業前には想像していなかった悩みも出てきます。

この記事では、最近主婦の間で増えている「おうち教室の開業」について、税理士の立場から税務面はもちろん、運営全般のお悩みまで幅広く解説します。扶養内でできるかどうか経費にできるもの・できないもの自宅の電気代や水道代の按分方法、そして実際の運営で直面する課題も紹介しています。

このページの目次

1. おうち教室の開業したら、まずどうすれば?!

開業したら、まずはお近くの税務署に開業届を出しましょう。
2025年1月から紙提出の場合、控えがもらえなくなったので、freeeやマネーフォワードの無料ツールとマイナンバーカード使って電子申請するのが良いと思います。

後々、開業届の控えは、これからいろんな場面で必要になるので、控え書類がないと結構不便です!ぜひ電子申請にチャレンジしましょう。

開業届を出す理由は?

  • 開業届を出すと、「青色申告」が選べるようになります。
  • 青色申告には最大65万円の控除、赤字の繰越など大きなメリットがあります。

注意!青色申告の申請には期限があります!

開業から2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」を提出しないと、その年は青色申告は選べません。

青色申告のメリット

  • 青色申告特別控除:最大65万円の所得控除
  • 純損失の繰越控除:赤字を3年間繰り越せる
  • 家族従業員への給与を経費計上できる

2. おうち教室運営の現実的なお悩み

集客の悩み

「生徒が集まらない」 開業したものの、思うように生徒が集まらないという相談が最も多く寄せられます。

  • SNSでの発信方法がわからない
  • 競合との差別化が難しい
  • 地域の需要を読み間違えた

解決のヒント

  • まずは身近な友人・知人への声かけから
  • 無料またはお試し価格での体験レッスンの実施
  • 地域のコミュニティセンターでのワークショップ開催
  • InstagramやLINE公式アカウントでの継続的な発信

料金設定の迷い

「いくらに設定すれば良いかわからない」

  • 他の教室より安くしないと来てもらえないのでは?
  • 材料費を考えると利益が出ない
  • 値上げのタイミングがわからない

料金設定の考え方

  • 地域相場の調査(同業他社の価格帯)
  • 原価計算(材料費・光熱費・人件費)をもとに継続的に利益が出せる値付けをする
  • 差別化、自分の付加価値を明確化(資格・経験・独自性を分析し、やること・やらないことを決める)

ご近所との関係

「近隣への迷惑が心配」

  • 駐車場問題
  • 子どもの声や音楽の音量
  • 玄関先での送迎時の騒音

近隣配慮のポイント

  • 開業前の近隣への挨拶回り
  • レッスン時間の配慮(早朝・夜間は避ける)
  • 駐車場の確保または公共交通機関の案内
  • 防音対策の検討

安全管理・保険の心配

「もし事故が起きたら?」 自宅に他人を招く以上、安全管理と責任の問題は避けて通れません。

  • 生徒のケガや物損事故
  • 賠償責任保険の必要性
  • 教室内の安全対策

対策方法

  • 個人賠償責任保険の加入検討
  • 教室内の安全点検(段差、角の処理など)
  • 緊急時の連絡体制整備(子供向けレッスンの場合は保護者と直接コンタクトとれるようにしておく)

3. 扶養内で開業したい方へ|130万円の壁

社会保険上の扶養について

130万円の壁が最も重要です。年間の収入見込みが130万円未満であれば、配偶者の社会保険の扶養に入れます。

年間の収入見込みが130万円を超えると、配偶者の健康保険・厚生年金の扶養から外れて、自分で国民健康保険+国民年金に加入しなければならず、年間30万円以上の自己負担になります。

重要なポイント:130万円は、売上ではなく「粗利益ベース」で判断するのが一般的

粗利益= 売上 – 仕入などの直接経費

例えば、ハンドメイド教室で年間売上が120万円でも、材料費や経費が50万円かかれば、粗利益はは70万円となります。この場合、社会保険の扶養から外れることはありません。
ただし、この最終判断は各健保団体によって異なるので、事前に確認されるのが良いと思います。

4. おうち教室で経費にできるもの・できないもの

経費になる主なもの👍

教材・材料費

  • 英語教室:絵本、CD、プリント用紙、フラッシュカード
  • ハンドメイド:布、毛糸、金具、装飾品、接着剤
  • リトミック:楽器、音響機器、マット、スカーフ

宣伝広告費

  • チラシ印刷代
  • SNS広告費
  • ホームページ制作費
  • 名刺・看板制作費

消耗品費 ※プライベート兼用の場合は按分が必要

  • 文房具、プリンターインク
  • 清掃用品
  • お茶やお菓子(生徒用)
  • マスク・消毒液

研修・セミナー費

  • 指導法研修参加費
  • 資格取得費用
  • 専門書籍購入費

経費にできないもの🚫

事業との関連性が薄いもの

  • 子どもの教材や、家庭用の書籍
  • 仕事以外のカフェ代・ランチ代
  • 家族用に買った備品(明確な線引きが必要)

税務調査でよく指摘される服装、美容院代はNGです!

レッスンのために身なりを綺麗にしたとしても、税務調査では生活費の一部とみなされます。
原則経費にはできません!
服装、美容院代を経費にあげる場合は、合理的に説明できるか慎重に検討しましょう。

  • 教室で着るためのきれいめの服(普段も着用するもの)
    ➡ 経費NG🚫(※ただし教室ロゴが入っているなど、事業専用であること場合は経費OK👍です)
  • レッスン前の美容院代
    ➡ 経費NG🚫
  • エプロン(ハンドメイド教室、料理教室専用)
    ➡ 経費OK👍

5. 自宅の電気代・水道代は経費にできる?|家事按分の考え方

おうち教室では、自宅の一部を仕事に使うため、「電気代や水道代を一部経費にできるのでは?」と疑問に思う方も多いかと思います。その場合は家事按分(かじあんぶん)という考え方を使います。

按分(あんぶん)とは

自宅の一部を事業に使用する場合、その使用割合に応じて経費計上できる仕組みです。

按分の計算方法

基本的な考え方

  • 【面積按分】教室使用面積 ÷ 家全体の面積
  • 【時間按分】事業使用時間 ÷ 総使用時間

計算例

  • 自宅面積:80㎡、教室使用面積:12㎡ → 面積按分:15%
  • 週3日×4時間×4週 = 月48時間、月の総使用時間:720時間 → 時間按分:6.7%
  • 総合按分率:15% × 6.7% = 1.0%

科目別の按分ポイント

電気代

  • 照明、冷暖房、音響機器の使用があるため按分しやすい
  • 按分率:1~10%程度が一般的

水道代

  • 絵の具や粘土を使う教室、料理教室は按分の余地あり
  • 按分率:1~10%程度が一般的

通信費(インターネット・携帯電話)

  • SNS発信、メール連絡で使用する部分
  • 按分率:10~30%程度

按分計算の注意点

  • 合理的な根拠を持って計算する
  • 継続性を保つ(毎年同じ方法で計算)
  • 記録の保存(使用時間の記録、間取り図なども残しておく)

6. 帳簿の管理と申告について

収入の記録

特に現金売上で回収することの多い「おうち教室」は収入の管理がとても大切!
なぜなら税務調査でも、現金売上の管理が一番細かくチェックされるからです。

後回しにせず、受け取った都度きちんと収入をつける癖をつけましょう。
手間であっても、必ず「領収書」や「集金袋」などで、受け取ったかどうかの履歴を残すようにしてください。

支出の記録

「とりあえずレシート保存」のままではどれくらい収益化しているかを把握できません。
教室を経営する「いち経営者」として、どれくらい利益が出せているのか、把握する必要があります。
すぐにクラウド会計のアプリでレシートを写真をとれば、経費がどれくらいかかっているかもリアルタイムで確認できます。

クラウド会計(freee、マネーフォワード)という選択肢

開業してすぐは、「紙で帳簿をつければいいかな」「とりあえずExcelで…」という方も多いですが、売上が伸びてきたり経費が増えてきたりすると、管理が一気に複雑になります。
確定申告の時に困らないように、クラウド会計ソフトで記帳しておけば、青色申告65万円控除使うことができます。

私って確定申告すべきなの?!

確定申告が必要な場合

  • 年間所得が48万円を超える場合
  • 他に給与収入がある場合は20万円を超える場合

青色申告を選択する場合

  • 会計ソフトと使って複式簿記での記帳が必要
  • 65万円の青色申告特別控除を受けるには電子申告が必要

8. まとめ|経理から逃げずに、楽しく長く続けましょう

おうち教室の開業は、好きなことを仕事にできる素晴らしい選択肢です。
税金や経理のことはさっぱり・・・という方も、教室を収益化するためには、帳簿付けは避けて通れません。

なかがわまみ税理士事務所では、freeeやマネーフォワードの導入支援プラン(2ヶ月・7万円)をご用意しています。

サポート内容:詳しくはこちら

  • 会計ソフトの選定と初期設定
  • 収入・経費の記録方法
  • 電気代・水道代の按分処理の仕方
  • 青色申告への備え
  • LINEでのご相談付き(期間中)

「自分で経理できるようになりたいけど、最初だけ伴走してほしい」
そんなお声にお応えするプランです。

あなたの「好き」を仕事にする、そのスタートを、そっと隣で支えます。
税理士と一緒に、安心しておうち教室を続けていきませんか?

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