【社会保険料と税金の滞納】差押えは他人事じゃない。ミュゼの件から学ぶ本当のリスク

こんにちは。今回は、事業主や個人事業主の方にとって避けては通れない「社会保険料」や「税金の滞納」について、実際に私が聞いてきたリアルな経験談や、2025年5月に報道された「ミュゼプラチナム」の差押えニュースも交えて、わかりやすく解説します。

「ちょっと遅れても大丈夫だろう」「できれば逃げ切れるのでは?」
そんな油断が、会社の口座凍結、信用の喪失、時には倒産にまでつながることもあります。
社会保険料や税金の滞納は、会社を解散しない限り逃げ切れることはありません。
ぜひ自分の会社を守るため、最後までご覧ください。

【話題】ミュゼプラチナム、社会保険料未納で差押え

2024年から2025年にかけて、全国に多数の店舗を展開する大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」が、社会保険料の滞納により差押え処分を受けたことが報道されました。

このニュースは、私たち中小企業や個人事業主にとっても他人事ではありません。

  • 数千人規模の企業でさえ社会保険料の未納で差押え対象に
  • 差押えは銀行口座や売掛金など広範囲
  • 社員の保険や年金にも悪影響が及ぶ
  • 結果として企業イメージや信用の毀損につながる

社会保険料の滞納とは?

社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など)は、事業主が従業員の給与から天引きした保険料と自社負担分をまとめて納付する義務があります。
しかし資金繰りに苦しむ中で、後回しにされがちなのがこの「社会保険料」。
原則は毎月口座引き落としがありますが、引落できないと、後日年金事務所より請求書が届き、美濃状態が続くと、差押えに至るケースも珍しくありません。

実際に聞いた“社会保険料の差押え”談

税理士としての業務の中で、以下のような実例に触れてきました。

口座凍結で経営がストップ

会社名義の口座が突然使えなくなり、給与も支払えない状態に。滞納していた社会保険料が原因。口座が使えるようになるまで数か月給与の未払状態が続き、業者への支払もできない状態が続く。

売掛金を差押えられ、信用を喪失

取引先に年金機構から通知が届き、滞納がバレてしまった。年金事務所の調査能力や権限は非常に強大で、取引先の売掛金を差し押さえられるケースもあります。

車両差押えで倒産したタクシー会社

これは有名な事例だと思います。あるタクシー会社では、社会保険料の滞納が原因で営業車両を差押えられ、結果的に倒産。従業員全員が職を失いました。

税金の滞納も深刻な影響が

税金(所得税・法人税・消費税など)も同様に、納期限を過ぎると厳しい取り立てがあります。

実際の“税金差押え”体験談

  • 預金口座が凍結
  • 給与の4分の1が差押えられ、会社に通知が届き職場で知られた
  • 農機具や自家用車まで差押え対象に
  • 年金や学資保険、振込直後の資金も容赦なく差押え

実際、私の事務所に相談に来られた方の中にも、「昔、税務署と相談して分納申請をしたが、手元資金がなく計画通り払えず放置してしまった。結果として差押えを受けて、数年たった今もその口座は凍結されたまま」という方がいらっしゃいました。
「払えないときに、逃げずに税務署に相談すればよかった」と口を揃えておっしゃいます。

社会保険料と税金の滞納リスクの違いは?

どちらも「滞納」してはいけないのは同じですが、税理士としての実務経験を踏まえると、差押えまでのスピードや行政執行力は、社会保険料滞納のほうが怖い印象です。
やはり「個人負担分を従業員給与から天引きしている」というのは、国としても重くとらえているのだと思います。

税金については、社会保険料と異なり、いきなり差押えされる事例は私は聞いたことはありませんが、税務署と相談して分納・延納申請をしたうえで、それでも納付が遅れたときに、いきなり差押えされた事例は聞いたことがあります。

項目社会保険料滞納税金滞納
管轄年金機構・ハローワークなど税務署・市区町村
督促・催告ありあり
差押えまでのスピード比較的早い。いきなり実行されることも督促→催告→差押えと段階的
公表リスクあり(悪質な場合は社名公表)高額・悪質な場合に報道されることも

差押えを防ぐには「放置しない」「すぐ相談」が鉄則!

社会保険料も税金も、「払えないから黙っていよう」は一番やってはいけない行動です。

まとめ

  • 督促状や催告書が届いた時点で相談(社会保険は年金事務所へ、税金は税務署へ)
  • 分納・猶予制度を利用する
  • 放置すると選択肢がどんどん狭まる
  • 差押えされると、取引先や金融機関からの信用を失い、経営が大きく傾きます

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