税理士が語る「さらば青春の光」①森田もブクロも給料いっしょのワケとは

今日は、税理士の視点から、大好きな「さらば青春の光」のをまじめに解説したいと思います。

1.森田とブクロが給料一緒のワケ:役員報酬は1年変えられない

一般的に、芸能人・芸人は事務所と雇用契約やマネジメント契約を締結するので、出来高制(出演番組のギャラに応じて配分)が多いのですが、森田と東ブクロ(敬称略)は「株式会社 ザ・森東」という会社での「取締役」になっています。
よく、森田が「こんだけ働いてるのに、ブクロと給料一緒や!!」と言いますが、実は役員は1年役員報酬変更できません

【解説】
役員給与が経費として認められるためには、『定期同額給与』、『事前確定届出給与』、『業績連動給与』のいずれかに該当するものでなければなりません。そのうち、定期同額給与とは、原則として事業年度を通じて毎月の支給額が同額であるものをいいます。よって、基本的に期中の変更は認められません

もちろん、森田が社長、東ブクロは副社長であり、2人の役職も役割も異なるため、本来は2人の給料は役員報酬に差をつけることもできるのですが、個人事務所設立に反対した東ブクロに対して、森田が「給料等分にするから!」と約束したため、それが守られているようです。

2.例外的に、役員報酬を改定できるのはこの3パターン

①通常改定:事業年度開始日から3か月以内に開催される株主総会等で改定される場合

(株)ザ・森東は9月決算なので、12月までに役員報酬を改定すればOKです。
12月末までには、正月特番のオファーなども見えてくると思うので、今年の売上も予測しやすいかもしれませんね。

②臨時改定事由による改定:役員の地位の変更や業務内容の重大な変更があった場合に行った役員給与

決議による役員の地位の変更(平取締役から社長など)、役員の職務内容の変更の重大な変更(他の役員の入院等により業務内容が大幅に変更した)、その他やむを得ない事情の場合に、報酬の改定が認められています。


「会社や役員が不祥事をおこしたことにより一定期間役員報酬を減額すること」は慣行として行われますが、会社の社会的評価に著しく悪影響を避けるためやむを得ないもので、減額の金額や処分が常識的に相当なものであれば、やむをえない事情として認められるものと思われます。(利益調整として使うものはもちろんNGです)
よって、以前東ブクロが女性問題で不祥事を起こしたときは、東ブクロの役員報酬を期中に減額することも決議をすれば可能だったかと思います。

ちなみに「減額」ではなく、一旦支給された報酬を「返上」する場合は、「一度支払ったもの」としてなるため、個人側で源泉所得税が取られます。

③業績悪化改定による改定:経営状況の著しい悪化などの理由

資金繰りに窮している場合や、倒産の危機に瀕し、株主や取引銀行、取引先などの利害関係者との関係上、役員報酬を減額せざるを得ない場合などが、これに当てはまります。
単に計画より利益率が下がってしまった場合や、一時的に資金繰りが悪化した場合は、該当しないので注意です。
ザ・森東のように非上場会社の多くは、役員と株主が同一のため、株主との関係上減額せざるを得ないケースというのはあまり多くはないと思います。

以上、今日は「さらば青春の光」から役員報酬を解説してみました。

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