法人で株式運用する場合の税金は?ETFや配当の扱い、個人との違いも解説

「会社の余剰資金で株式運用を始めたいが、法人で株を持つと税金面で不利なのでは?
ETFの配当金って法人税がかかるの?

こうしたご相談をよくいただきます。法人名義で株式を運用する場合、個人とは異なる税制が適用されます。この記事では、法人で株式投資を行う場合に知っておきたい以下のポイントを、西宮の税理士がわかりやすく解説します。

1. 法人の株式運用と配当金の税制|ETFの配当は益金不算入の対象外?

法人が上場株式を保有していると、配当金を受け取るたびに税金が発生します。ここで重要なのが「益金不算入制度」です。

●配当は一部税金がかからない!( 益金不算入制度とは?)

  • 法人が受け取る配当金のうち、一定割合(国内の上場株式の場合は一般的に20%)を課税所得から除外できる制度です。
  • 一定の保有要件や投資先の性質により対象範囲や割合が決まります

● ETFの配当金は「益金不算入」の対象外?

ETFの多くは「投資信託」として扱われ、受け取る配当は信託の分配金に該当します。そのため、原則としてETFの配当金は益金不算入の対象外です(つまり全額税金の対象になります

➤ ただし例外あり:一部のETFは益金不算入の対象に

以下のようなETF(上場投資信託)は例外的に益金不算入の対象になります。

  • 投資対象がすべて株式に限定されている投資信託(=特定株式投資信託)
  • かつ、外国株価指数に連動していないもの

たとえば、以下のような国内株式型ETFが該当します:

  • NF日経225連動型上場投信(1321)
  • TOPIX連動型上場投資信託(1306)
  • NF日経高配当50(1489)

これらのETFは、国内株式と同様「配当のうち20%が益金不算入の対象、残りの80%は課税対象」となります。

対象になるかどうかは、目論見書または信託約款に益金不算入制度の対象が明記されているかがポイントです。気になる銘柄は必ず、証券会社や投信協会のWebサイトで目論見書を確認しましょう。

2. 所得税額控除の活用|法人税から引ける税額とは?

株式や投資信託の配当・利子を受け取る際、所得税が源泉徴収されている場合があります。これらは確定申告時に法人税から「所得税額控除」として減額(控除)できます。

● 所得税額控除の基本

  • 法人が受け取った配当等に対し源泉徴収された所得税を、法人税額から控除できる制度
  • 一般の株式配当や株式投資信託は、原則として所有期間に応じて按分が必要です(配当計算期間の期中で取得したものは、所有期間に対応する部分だけ控除できます)

● 所有期間の按分が不要な商品も(全額控除できる)

以下のような金融商品は、所得税額控除の所有期間按分の対象外です

  • 預金利子
  • 社債(特定公社債等)
  • 公社債投資信託(元本運用対象が債券等とすることを約款に記載している)

なお、対象となる金融商品のうち、株式配当や株式型ETFなどは所有期間の按分をしなければならず、一方で債券については保有期間按分が不要です。

詳細は金融機関に確認するか、税理士に目論見書を提示して相談するのが確実です。

3. 法人と個人、株式運用で得なのはどっち?【比較表あり】

これはよくあるご質問ですが、一概にどちらが有利とは言い切れません
なぜなら、以下のように立場によって損得が異なるからです。
資産の運用目的や出口戦略によって、法人・個人いずれが有利かは変わります

ただ、いずれにしろ最初はが、まずは個人として「NISA枠」を満額使うのが良いと思います。

区分メリットデメリット
法人で運用・他の事業収入と損益通算が可能
・資産を法人内に留保しやすい
・役員報酬等を使えば個人へ資金移転が可能
・ETFの多くは配当益金不算入の対象外
・法人の所得が多い場合、個人(申告分離課税)よりも税率が高くなることがある
・役員報酬が低額の場合、個人へ資金移転できない
個人で運用・配当・譲渡益が一律20.315%(申告分離課税)
・NISAなどの非課税制度が使える
・損益通算できる範囲が狭い(申告分離課税の場合、事業所得等の所得とは通算できない)

4. 【まとめ】法人での株式運用は税制の特徴を踏まえた戦略を

法人で株式やETFを運用する場合、以下のような税制上の注意点があります。

  • ETFの配当は原則課税対象。国内株式100%型でも80%は課税される
  • 所得税額控除は商品によって所有期間按分が必要
  • 目論見書や信託約款を確認し、正確な処理を行うことが重要

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