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【5月に届いた封筒、どうする?】社会保険制度説明会の案内が届いたら読むブログ|算定基礎届・随時改定・給与ソフト実務も解説

2025-05-29

5月になると、年金事務所から「社会保険制度説明会のご案内」という封筒が全国の事業主に届きます。

「これは行かなきゃいけないの?」「どんな内容なの?」「うちの会社に関係ある?」
そんな疑問を持って検索される方も多いのではないでしょうか。

このブログでは、以下の内容を実務の視点からわかりやすく解説します。

  • 社会保険制度説明会の概要と参加の必要性
  • 算定基礎届(定時決定)と随時改定(月額変更届)の違い
  • freee・マネーフォワード給与での反映方法(実際の画面を用いて説明)
  • 2025年(令和7年)西宮市の説明会日程・会場情報

社会保険制度説明会とは?5月に届く理由

毎年5月〜6月にかけて、全国の事業所へ「社会保険制度説明会の案内」が届きます。
これは、日本年金機構が主催する、社会保険手続きに関する事業主向けの説明会です。

案内が5月に届くのは、7月に提出期限を迎える「算定基礎届(定時決定)」に向けた事前準備として、必要な情報を提供するためです。

内容は以下のようなものが中心です:

  • 算定基礎届の提出方法・注意点
  • 月額変更届(随時改定)の判断基準
  • 電子申請(e-Gov・GビズIDなど)の推奨と操作説明
  • 保険料免除(産休育休)の手続き案内
  • 保険料率の変更、制度改正などの最新情報

算定基礎届(定時決定)と随時改定(月額変更届)の違い

両者とも「社会保険料の算出のもとになる標準報酬月額」を見直す手続きですが、目的や時期、対象者が異なります。

項目算定基礎届(定時決定)随時改定(月額変更届)
実施タイミング年1回(原則7月)給与等に大きな変動(2等級)があった場合、随時
対象者全従業員固定的賃金が変動した従業員
算定期間4〜6月の3か月分変動後の3か月分
適用開始9月支給分から変動から4か月目の給与支給分から
必要書類算定基礎届月額変更届
要件特になし2等級以上の差、支給基礎日数の基準あり

「定時決定だけじゃない」—なぜ随時改定があるの?

社会保険料を決めるもととなる「標準報酬月額」は、毎年1回の【算定基礎届(定時決定)】で見直されます。ですが、期中に大きな基本給の変動があれば、それだけでは対応しきれないケースもあります。

たとえば…

  • 昇給して給与が大きく上がった
  • 基本給の体系が見直された

このように、年の途中で従業員の固定的な給与が変わることは珍しくありません
それにもかかわらず、社会保険料が1年間ずっと同じままだと、実際の給与額と保険料のバランスが崩れてしまうことになります。

そこで設けられているのが「随時改定(=月額変更届)」の仕組みです。

昇給や降給など、給与に明確な変動があった場合には、年1回の見直しを待たずに社会保険料を調整できるようになっているのです。

例:9月に昇給 → 9〜11月の平均給与が2等級以上アップ → 12月から新等級が適用される

給与ソフト(freee・マネーフォワード)での設定方法と注意点

算定基礎届や随時改定によって保険料が変更されたら、給与ソフトにも正確に反映する必要があります。

freee人事労務の場合

  • 標準報酬月額は自動では反映されないため、従業員ごとに手動で設定変更が必要です
  • 保険料率(協会けんぽ)は自動更新、組合健保は手動設定が必要です
  • 変更後に給与明細を確定済の場合は、確定解除→再計算が必要

freeeヘルプセンター 従業員の情報を編集する

マネーフォワードクラウド給与の場合

  • 従業員ごとに、適用開始月を設定して設定する
マネーフォワード クラウド給与使い方ガイド
「社会保険」の設定

いずれのソフトも、「正しい時期」「正しい等級」の入力ができていないと、社会保険料にズレが生じる原因になります。給与確定前に必ず確認しましょう。

【2025年】西宮市の社会保険制度説明会|日程と会場

兵庫県西宮市では、以下のとおり開催が予定されています。

  • 開催日:2025年6月12日(木)
  • 時間:午前の部 10:30〜12:30/午後の部 14:30〜16:30
  • 会場:西宮市民会館(アミティ・ベイコムホール)

内容は日本年金機構や兵庫県社会保険協会が中心となって行われ、算定基礎届の作成例、電子申請の操作、間違えやすい点の共有など、実務に沿った説明がされます。

※各地域で日程・会場は異なります。年金事務所公式サイトからの案内をご確認ください。

説明会は行くべき?参加の判断基準

  • 初めて算定基礎届を出す
  • 社労士がいない/サポート体制に不安がある
  • 労務担当者が変更になったばかり

このような場合は、参加することで理解が深まり、ミス防止にもつながります。
逆に、社労士のサポートがあったり、実務も慣れている場合は、必須ではありません

まとめ|案内が届いたら「何もしない」はNG。必要な知識を備えよう

  • 「社会保険制度説明会」は、算定基礎届提出のための事前情報提供の場
  • 算定基礎届と随時改定は似て非なる制度であり、どちらも社会保険料に直結する
  • 給与ソフトには必ず正しい時期・等級・料率を反映させることが重要
  • 不安な場合は、説明会参加や専門家への相談が安心です

【2025年最新版】106万円・130万円の壁とは?扶養内パートが損しないための働き方を税理士が解説

2025-05-26

「106万円の壁ってなに?」「130万円を超えるとどうなるの?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
パートやアルバイトで働く際に気になる「扶養の壁」問題。2025年5月には年金改革法案が閣議決定され、今後の制度も大きく変わる見通しです。
本記事では、「106万円・130万円の壁とは何か?」「どんな人が対象か?」「損をしない働き方とは?」を最新情報をもとに税理士がわかりやすく解説します。

✅「壁」とは?税金と社会保険で違いあり

「〇〇万円の壁」とは、税金や社会保険の負担が変わるボーダーラインのことです。

壁の種類対象主な影響負担のかかり方
税金の壁(2025年改正:160万円等)所得税・配偶者特別控除自身に税金が発生したり、配偶者(夫)の税金が増える壁を超えた金額にだけ課税(段階的)なのでインパクトは大きくない
社会保険の壁(106万円・130万円)健康保険・年金扶養から外れて保険料全額負担⚠️超えると収入全体に保険料がかかる(急激に負担増)

👉つまり、「106万円・130万円の壁」は、税金よりも社会保険の方がインパクト大❗なのです。

✅【配偶者向け】106万円の壁とは?2026年には制度が大きく変わります

● 現在のルール(2025年時点)

以下の5つをすべて満たすと、配偶者は厚生年金・健康保険への加入が義務となります。

  • 週20時間以上勤務
  • 月収8.8万円以上(年収106万円)※通勤手当・賞与は含まない
  • 2ヶ月を超えて勤務見込み
  • 学生でない
  • 従業員が51人以上の会社

● 2026年10月以降の変更点(予定)

  • 年収基準(106万円)は撤廃
  • 勤務時間「週20時間以上」で社会保険加入対象
  • 現在は従業員51人以上が対象だが、適用される企業も段階的に拡大し、2035年にはすべての事業所が対象

👉つまり、パート先の社会保険加入については、「106万の壁(月88000円)」ではなく、今後は「週20時間の壁」になります。

●20時間を超えるとどうなる?損か得か

  • 社会保険料により手取りは年15万円ほど減少
  • その一方、将来もらえる年金が1年につき5,000〜6,000円増加(10年働けば5~6万)
  • 「もとを取るには25年以上」かかる計算

手取り重視なら抑える、将来重視なら加入して思い切り稼ぐがポイントです。

●「社会保険の扶養をなんとしても続けたい!」場合の選択肢

  • 20時間未満のダブルワークにする(企業ごとの判定)
  • 従業員50人以下の小規模事業所で働く(現時点では対象外)

⚠️ ただし、上記の方法をとったとしても、年収130万円を超えると、どんな働き方でも国民年金+国民健康保険に強制加入(年30万円超の負担)となるため、130万円の壁はより強く意識すべきです。

✅【配偶者向け】130万円の壁は“超えるとキケン⚠️”な分かれ目

「130万円の壁」とは、配偶者が扶養から外れる基準となる最も重要なラインです。

❗130万円を超えると負担は一気に増える

  • 配偶者の健康保険・厚生年金の扶養から外れる
  • 自分で国民健康保険+国民年金に加入しなければならず、
    👉 年間30万円以上の自己負担になります

👴60歳以上・障がい者の方は少しゆるやか

130万円ではなく、180万円が扶養の上限となります

✅ 一時的に130万円を超えた場合の救済制度あり(2023年~)

一時的に130万円を超えても、扶養を継続できる特例制度があります
雇用先が「一時的収入超過である」と証明すれば 最大2年間は扶養のままでOKされる制度があります✨

注意⚠️:以下の条件をすべて満たす必要あります

・雇用先からの「一時的超過」である証明書が必要
・配偶者の勤務先+扶養者(例:夫)の勤務先の健保、両方の理解(承認)が必要
フリーランス・個人事業主は対象外(証明書を出せないため)

扶養判定は“健保の判断”で決まる

  • 扶養の可否を決めるのは、配偶者が加入している健康保険組合や協会けんぽなので、審査はかなり厳格です⚠️(106万円の壁よりも厳格な審査になります)
  • マイナンバーを使って、本人の同意なしに収入調査されることもあります
  • 多くの組合では毎年、扶養調査があります
  • ママ開業されるかたも増えてきましたが、自営業(フリーランス)の場合、この130万円は、最終利益ではなく一般的には粗利益(売上から原価などの直接経費を除いたもの)で判定されます。つまり確定申告で認められる間接経費などを差し引いた後ではありませんのでご注意を。

⚠️130万円を超えるとどうなる?まとめ

  • 国保+国民年金の加入が必要
  • 年間負担は30万円超
  • 手取りはガクッと減少
  • 扶養控除もなくなり、世帯全体の手取りにも影響❗

👉 “106万円の壁”よりも、“130万円の壁”のほうが家計へのインパクトは圧倒的⚠️
「ちょっとだけ超えたつもり」が、取り返しのつかない損失になることもあるので要注意です!

✅学生や子どもが気をつけるべき壁は?

第三号被保険者というのは配偶者だけの特別な制度で、それ以外の扶養者(子供)はルールが異なり原則国民年金に加入する必要があります。ただ、健康保険については扶養制度があるので壁が存在します。
わかりやすく解説しましょう。

【大学生】

  • 106万円の壁は対象外(学生は学業が本業なのでバイト先の社会保険に加入することは原則ありません)
  • 2025年から「150万円の壁」に引き上げ
    • 130万円→150万円に上限引き上げられました
    • 150万円超で親の扶養控除が減少(親の税負担増加)
    • 150万円超で国保加入が必要(学生自身の自己負担増加)

【学生以外(22歳以上を想定)】

  • 年収123万円超で親の扶養控除が消滅
  • 勤務先が50人超なら106万円超で厚生年金に加入できる(自己負担減)
  • 勤務先が50人以下なら130万円超で国保・国民年金に加入しなければならない(自己負担増)
  • 学生に限りませんが、働くなら50人超(社会保険に加入してくれる会社)にバイト・就職するのがよいですね。

✅2025年以降の主な壁一覧

内容対象・影響
106万円社会保険加入義務2026年以降は週20時間で判定へ
130万円【影響大💥】健保・年金の扶養外年間負担30万円超、すべての所得合算で判定
150万円【学生】扶養控除減少・国保加入2025年10月導入予定
160万円【配偶者】自身の所得税の配偶者控除減少開始実際に税金が発生するのは給与190万円超

✅まとめ|扶養内で働くなら、「壁」と向き合う働き方

2025年以降、「106万円の壁」や「130万円の壁」は、制度変更によってますます重要になります。

  • 「少し超えたら損」は社会保険の壁
  • 「超えても得かも?」は長期的な保障の観点

自分や家族にとってどの働き方が良いのか、収入シミュレーションと将来設計が必要です。

💡こんな方はご相談ください!

  • どのくらいまで働いても損しないか知りたい
  • 社会保険に加入すべきか迷っている
  • 家族全体での節税や手取りを増やしたい

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【税理士が解説】法人化したら節税できるってほんと?

2024-06-12

「そろそろ法人化した方がいいのかな…?」――西宮市で個人事業をされている方から、よくいただくご相談です。

事業が軌道に乗り、利益が700万円〜800万円を超える頃になると、税金や社会保険料の負担がぐっと増加し、「法人化すべきかどうか」の判断に迷うタイミングが訪れます。

法人化には、節税や信用力アップといったメリットがある一方で、税務処理や手続きの煩雑さなど、見落としがちなデメリットも存在します。
この記事では、西宮市で起業・法人化を検討中の方に向けて、税理士の視点から、法人化の判断基準や具体的なメリット・注意点をわかりやすく解説します。

「起業したばかりだけど、将来の法人化も視野に入れておきたい」
「法人化すると何が変わるの?どこからがお得なの?」

そんな疑問をお持ちの方は、ぜひご一読ください。

1.利益700万円が法人化の目安

個人事業主にかかる所得税の税率は、一律ではなく、所得に応じて5〜45%と7段階に分かれており、所得が増えるごとに税率も上がっていきます。
住民税の所得割は一律10%ですので個人事業主の利益にかかる税率は、最大で55%(所得税の最大税率45%+住民税10%)となります。

一方、法人の利益にかかる法人税の税率は、800万円までは一律23%程度(法人税15%+地方法人税+市県民税)、800万円超は35%程度(法人税23.2%+地方法人税+市県民税)ですので、利益が増えてくると法人化すると税率が低くなります。

2.法人化するメリット

①社会保険に加入すると、社会保険料が節約+将来の年金が手厚く

個人事業主は社会保険に加入できないので、国民健康保険・国民年金に加入することになります。国民健康保険料は前年の所得に応じて決まるので、思わぬ大きな収入が入ると、翌年の社会保険料が大きな負担になります(国保保険料は前年の所得の10%~15%程度、年金保険料は定額で約20万円です)

法人化して社会保険に加入すると、決定した役員報酬に応じて社会保険料も確定できるうえ、将来年金の2階部分(厚生年金)も受給できます。

②経費にできる範囲が増やせる

下記の経費は、個人事業主では経費になりませんが、法人化すると経費になります。

 内容要注意ポイント
出張日当旅費交通費規程を定め、日当を支給できる(個人でも所得税非課税)・常識的な範囲で規程を定めること ・出張履歴を残しておくこと
社宅自宅を法人名義で借りると、社宅として経費にできる・全額会社負担はNG(一定額は個人負担としてから収受すること)
・豪華な社宅(240平米以上等)は原則経費NG
社長個人の退職金退職金は課税上優遇されています・退職金が、これまでの役員報酬に比して不相当に多額の場合否認される可能性あります

③信用力・融資の点で有利

法人でなければ取引しない、法人でなければ融資しないという企業や金融機関もあります。
理由としては、法人は詳細な決算書・申告書を作成するため、その資料をもとに会社の信用力・財政状態を審査することができる一方、個人事業主は、個人の生活費としての資産(財布)と事業主としての資産(財布)がごちゃまぜになっているため、決算書や申告書をみても与信を審査しにくいためです。

3.法人化するデメリット

・赤字でも税金がかかる

法人の場合、赤字でも毎年約7万円の税金(均等割)がかかります。

・法人特有のこまごました出費、作業が増える

法人の確定申告書は税務の知識がない方は作成が難しいため、一般的に税理士に依頼することが多いです(会社の規模にもよりますが年間30万円程度)

法人名義のクレジットカードの年会費やネットバンクの費用等、こまごましたところで、個人名義よりも出費が増えることがあります。

4.まとめ

利益700万円を超したら、法人化して節税を検討
法人化して役員報酬を得ると、社会保険に加入できる

無料相談受付中|お気軽にご相談ください

税金や経理のことだけでなく、
「ちょっとお金のことで不安がある」
「経営の今後について誰かに相談したい」
そんな時に、まず思い浮かべてもらえる税理士でありたいと考えています。

「こんなこと聞いていいのかな?」と思うようなことでも、遠慮なくご相談ください。
初回のご相談は無料で承っております。オンライン面談にも対応していますので、全国どこからでもお気軽にご連絡いただけます。

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