消費税申告のお知らせが届いたらどうすれば?|2割特例と原則課税の違いをわかりやすく解説

この時期、国税局または税務署から「消費税の申告書の提出について」という封筒が届くと、ドキッとしますよね。
このお知らせは、本来消費税申告が必要なのにもかかわらず、消費税の申告書が提出されていない事業者に送られる書類です。

所得税申告書だけ提出しても消費税の申告書は自動では作成されません。

・基準期間(2年前)の売上高が1,000万円を超えた事業者
・取引先の要望でインボイス(適格請求書)登録をした事業者

は、消費税の申告が必要です。

しかも、消費税は「2割特例」か「原則課税」か―
選び方しだいで税額が何十万円単位で変わることもあります。現場で多くの申告をサポートしてきた税理士の視点で、押さえるべきポイントをお伝えします。

まずは、消費税申告が必要かどうかチェック

ご自身が以下のどちらかに当てはまっていれば、消費税の確定申告が必要です。

  • 2年前の売上高が1,000万円超
    たとえば2022年の売上が1,200万円なら、2024年(去年)は消費税の申告・納税が必要です。
  • インボイス登録をしている
    BtoBの会社はクライアントから登録を求められるケースが多いです。「単に番号登録するだけ?」と気軽に登録されてしまう方がいますが、インボイスに登録すると、それ以降消費税の申告・納税義務が発生します。

消費税の計算方法は主に2つ

所得税の計算はシンプルで、「売上ー経費」で計算しますよね。それ以外の計算方法はありません。
一方、消費税は事業者の売上規模や届出の状況に応じて、いくつかの計算方法を選択することができます。

主な計算方法は以下の2つです。

計算方法概要おすすめの方注意点
2割特例売上にかかる消費税額の20%を納税仕入がなく、経費も少ない業種(士業・コンサル・講師など)
原則課税売上に対する消費税 − 仕入・経費等に含まれる消費税 = 納税額・仕入や外注費が多い業種(小売・製造・飲食など)
・eBAYなど輸出業
・赤字の年や設備投資を行った年
・2年前の売上が1000万円超の場合は選択できません。
・記帳や計算方法が複雑になります。

私はどちらが得?ケース別シミュレーション

年商1,500万円で業種別に、2割特例と原則課税を比較しました。

業種利益率2割特例の納税額原則課税の納税額有利な方法
コンサル70%約30万円約100万円2割特例
コンサル(1000万円の車を購入)70%約30万円納税なし原則課税
国内ネット物販30%約30万円約40万円2割特例
eBAY輸出物販30%約30万円▲約100万の還付
原則課税


~ポイント~
・利益率が高いと2割特例が概ね有利
・設備投資がある年は原則課税が有利になるケースがある
・売上が輸出の場合は原則課税を選択すると、消費税還付を受けられる
・仕入先や外注先のインボイス対応状況で金額は変わる

実際の相談事例:思わぬ納税額に驚かないために

昨年、西宮市のIT関係の個人事業主から「消費税が100万円近くになりそう」と相談を受けました。
確認すると、仕入がほとんど無い(利益率が高い)のに原則課税で申告していたため、ほぼ売上全額に税率10%がかかっていたのです。
本来2割特例で申告していれば、納税額は約20万円程度で済んだはず。

消費税は、選ぶ計算方法で、税額が大きく異なるので、どの方法が有利になるかシミュレーションが大切です。

税理士からひとことアドバイス

所得税はiDeCoや医療費控除、配偶者控除など様々な控除制度(節税制度)がありますが、消費税にはそのような控除制度はりませんので、一般的に消費税は、所得税より負担が大きくなります

「消費税は売上が伸びている証」と前向きにとらえつつも、納税資金を確保する仕組みづくりが大切。私は毎月の売上の10%を別口座にプールする方法をおすすめしています。資金繰りの不安がぐっと減りますよ。

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消費税の計算方式の選択から申告書の作成まで、なかがわまみ税理士事務所がサポートします。
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